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STOP!転倒災害プロジェクト

加齢と転倒災害
加齢により身体強度や運動機能が低下するため、転倒しやすく、わずかなつまずきであっても被災の重篤度が高まる傾向があります。
自分の身体的能力を過信しないことが重要です。
身体的能力のセルフチェックをしてみましょう。
高年齢労働者は、以下のように身体強度や運動機能が低下するため、転倒しやすく、わずかなつまずきであっても被災の重篤度が高まる傾向があります。
ア 平衡性
足腰の筋力が衰え、歩行中に足を上げる高さが低くなると躓きやすくなります。身体平衡機能の指標である閉眼片足立ち時間は、年齢を重ねると大きく低下します(図a)。
図a 性別年齢別閉眼片足立ち時間の平均
出所:「高年齢者の安全確保のための機器及び作業システムの開発に関する特別研究(第1報)」、SRR-No.13、(独)産業安全研究所(現 (独)労働安全衛生総合研究所)梅崎重夫、深谷潔
イ 敏捷性
危険を迅速に回避するための危険回避能力の指標である全身敏捷性(ジャンプ・アップ回数)は、加齢と共に急速に低下します(図b)。
図b 性別年齢別ジャンプ・アップの回数の平均
出所:「高年齢者の安全確保のための機器及び作業システムの開発に関する特別研究(第1報)」、SRR-No.13、(独)産業安全研究所(現 (独)労働安全衛生総合研究所)梅崎重夫、深谷潔
ウ 視認性
加齢による水晶体の弾力性や光の透過率の低下により、視力や暗い場所での視認性が低下します。また、明るさが急変して暗くなる場所では、目が暗さに順応するまでにかなりの時間を要するようになります。このため薄暗い場所での段差の視認性が落ちます。
上述のような運動機能の低下を反映して、高齢者の労働災害の発生原因として、
  「体のバランスが思うようにとれなかった」
  「気持ちが先走り体がついて行かなかった」
  「手足腰が弱っていた」
といったものが多くなっています。
製造業における労働災害のうち、高齢者(50歳以上)の占める割合を事故の型別に見ると、「転倒」が占める割合が52.7%と最も高くなっています(図c)。
図c 高齢者(50歳以上)の労働災害の傾向(事故の型別)
出所:「高年齢者の安全確保のための機器及び作業システムの開発に関する特別研究(第1報)」、SRR-No.13、(独)産業安全研究所(現 (独)労働安全衛生総合研究所) 梅崎重夫、深谷潔
また、労働災害のうち「転倒」の割合を年齢別に見ると、50歳から急増し、60歳前半までをピークとする山型分布を示しています(図d)。
図d 年齢別の「転倒」災害の割合(2011年の労働災害(死傷)データより。)
出所:月刊誌「安全衛生のひろば(2015.2)」(中災防発行)、(公財)労働科学研究所 永田久雄
※縦軸は、全年齢における全労働災害を100%としている。