安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。
社会福祉施設には、高齢者福祉施設、障害者福祉施設、保育施設等があり、お年寄り、子ども、障害のある方々への様々な福祉サービスの提供を通じ、これらの方々が自立してその能力を発揮することができるよう、必要な日常生活の支援、技術の指導等を行うことを目的としています。
しかし、近年、これらの業務に関わる介護系職員及び保育士等に労働災害が多発しています。
労働災害(休業4日以上)による死傷者数は、長期的には減少傾向にある一方で、社会福祉施設における労働災害発生件数は、近年増加傾向にあります。
社会福祉施設における労働災害の主な特徴は、事故の型別では、腰痛を主とする「動作の反動、無理な動作」及び「転倒」という労働者の作業行動に起因する労働災害(行動災害)が多く、業務上疾病では、腰痛の占める割合が高く、かつ増加傾向にあります。
厚生労働省では、平成6年に「職場における腰痛予防対策指針」を策定しましたが、社会福祉施設における腰痛が10年前の2倍に急増していることを踏まえ、平成25年に同指針を19年ぶりに改訂し、福祉・医療分野における適用範囲を介護・看護作業全般に拡大するとともに、介護・看護作業について、リスクアセスメントの実施、対象者の残存能力を活用した移動移乗方法等を取り入れる等、指針の充実を図っています。
社会福祉施設においては、休業日数が比較的少ない労働災害や、中高年齢労働者、未熟練労働者の災害が多く、職場における労働災害防止活動を担当する安全管理担当者等の選任の義務付けもないことから、事業者及び労働者双方の安全に対する意識を高めることが重要な対策となります。