電気室において定期点検中、通電のまま断路器を開放しアークを浴び火傷
| 業種 | ビルメンテナンス業 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業場規模 | 300~999人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 電力設備 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 高温・低温の物との接触 | |||||
| 被害者数 |
|
|||||
| 発生要因(物) | 作業手順の誤り | |||||
| 発生要因(人) | 忘却 | |||||
| 発生要因(管理) | 通電中の電気装置の | |||||
No.1115
発生状況
この災害は、貸ビルの地下2階にある受変電設備の定期点検・清掃作業において発生したものである。災害発生当日の作業予定としては、午前中にはセンタービル全体を停電し、電気室内の高圧電気機器等の点検及び清掃、接地抵抗及び絶縁抵抗の測定、高圧しゃ断器の絶縁油の取り替え、保護継電器試験、受電切替え試験等を行ない、午後には一旦受電状態として冷却水系統の点検を行なうことになっていた。
当日、朝7時頃より作業を開始、作業が順調に進行し、午前11時06分頃より午前の最後の作業である受電切替え試験を行なうことになった。
そのため、監視室にいた責任者Aが作業開始の合図を発し、監視室と電気室との間のドアの所で1名がその合図を中継し、電気室の中で待機していた3名が、常用回線の3個の断路器をデスコン棒(先端にかぎ型の金具がついた長さ1.5メートルの木の棒で断路器を開放するのに使う)で一斉に引いたところ、遮断アークが発生し、断路器の開放作業を行なった3名が顔面にアークを浴び火傷した。
原因
この災害は、受電室において常用回線から予備回線への受電切替え試験のため、受電側の断路器を開放した時に、しゃ断アークが発生したものであるが、試験は次の手順で行なわれることになっていた。(1) 全ての変圧器用しゃ断器を「切」の状態として負荷電流をしゃ断する。
(2) 常用及び予備回線の電源側断路器を閉じる。
(3) 常用回線の電源側しゃ断器を「入」、予備回線側のしゃ断器を「切」とする。
(4) 電源側の断路器を開放して断路器より負荷側を無電圧とし、これを低電圧継電器が検知して常用回線の電源側しゃ断器を「切」、予備回線側のしゃ断器を「入」となるか否かを確認する。
しかしながら、この試験においては、この手順どおりにはなっていなかった。
その原因としては、次のことがあげられる。
1 電路の負荷状態の不確認
保護継電器試験の際に一時停電回路を活かしたが、次の作業の開始前に回路の負荷状態を確認しなかったこと。
2 不明確な作業指示
作業の責任者Aは、同人がいた監視室に回路の負荷状態を表示するパイロットランプがあったのに確認をしないまま作業の指示を出したこと、また、直接指示せずドアの所で他の者に中継をさせたこと。
対策
この災害は、貸ビルの電気室に常駐している責任者以下8名が定期点検中に発生したものであるが、周辺状況や作業内容を熟知している者の災害として注目される。直接的な災害原因は、負荷のかかった状態で断路器を開放したことにあるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
1 作業方法の徹底
停電作業を行なう場合には、作業者に対し、作業期間、作業内容等を周知し、かつ、指揮者を定めて作業を行なわせること。
2 断路器の開放時の措置の徹底
負荷電流をしゃ断するためのものでないものを開路するときには、パイロットランプ、タブレット等により、電路が無負荷であることを確認させること。
3 作業者に対する再教育
高圧又は特別高圧の電路の修理等に従事する作業者については、労働安全衛生法の定めるところにより、安全に関する次のような内容の「特別教育」を実施することが義務づけられているが、一定の時期ごとに再教育を実施すること。
厚生労働省