用水路用塩化ビニール管の埋設作業中、地山が崩壊
| 業種 | その他の土木工事業 | |||||
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| 事業場規模 | - | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 地山、岩石 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | その他の土木工事 | ||||
| 災害の種類 | 土砂崩壊 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | ||||||
| 発生要因(人) | ||||||
| 発生要因(管理) | ||||||
No.973
発生状況
本災害は、潅漑用水路用の塩化ビニール管の埋設作業中、掘削法面の地山が崩壊し、作業者1名が崩壊土砂の下敷きになったため、元請の所長と同僚の作業者が救助に入ったところ、その直後2次崩壊が発生し、その2名も崩壊土砂の下敷となったものである。本工事の計画は、河川から取水した水をいったん貯水池に溜め、パイプラインによって送水し、潅漑を行うもので、元請会社は、貯水池の造成を終了した後、下請1社を使用してパイプライン敷設工事に取りかかった。本工事は、約165mにわたり、ドラグ・ショベルによって深さ1m~7mの範囲でオープンカット工法により、約51°の勾配に掘削を行い、塩化ビニール管を設置した後埋戻しを行うもので、災害発生時点における進捗状況は約60%であった。
災害発生当日は、元請の所長と、下請の作業者5名が作業に従事することになっており、所長と下請の責任者との間で打合せがなされた後、作業は開始された。作業は、ドラグ・ショベルを用いての掘削作業を作業者A(下請 地山の掘削作業主任者)が、掘削部分の床ならし及びその上に敷く砂のならし作業を作業者B(下請)が、片付け作業を他の3名の作業者(下請)が行い、所長は作業の監督や測量その他現場の全体的な管理を行っていた。
作業開始後7時間程して、所長はAと作業打合せを行って、次のような指示をした。
[1] パイプライン敷設予定場所を横切っている農道の部分については明日の道路工事との関係上今日中にパイプを敷設して車が通れるようにしなければならず、作業は夜までかかること。
[2] 夜間作業を行う道路部分には、既設の桝4個とヒューム管2本が埋設されているが、掘削する際には事前にそれを撤去すること。
[3] 掘削の勾配については、従来どおりの勾配を確保すること。
[4] 暗くなったら、十分な照明を確保して作業を行うこと。
指示の後、所長はいったん現場事務所に戻り、事務的な作業を行っていた。午後6時頃作業の様子を見に行ったところ、ドラグ・ショベルが道路下部を通っていた水道管を破損して、作業が中断していたため、応急措置をするとともに、修復の手配をして午後8時頃事務所に戻った。現場ではその後も掘削作業が続けられたが、水道管の破損により作業が遅れたため、ヒューム管等の撤去は行わないで、2本のヒューム管の間を67°の勾配で計画の深さまで掘り下げる方法に変更がなされた。9時50分頃作業はいったん中止され、10時30分頃作業を再び始めるため所長とA、Bの3人が現場に向った。
Bは一足先に現場に向かい、所長とAが現場に到着したときにはすでに掘削底部に立ち入っていたが、その直後北側の法面が崩壊し、Bは土砂に埋まってしまった。所長とAは急いで救出のために中に入ったとき、2回目の崩壊が起こり、両名とも土砂の下敷になってしまった。
2回目の崩壊を宿舎に帰ろうとしていた下請の他の作業者が目撃し、連絡を受けて救急隊が3人を救出したものの、A、Bは既に死亡、所長も全身打撲で重傷を負ったものである。
原因
まず直接的な原因は、[1] 地山の掘削を行うにあたって、作業が遅れたことから計画どおりの勾配での掘削を行わなかったこと。
であるが、間接的な原因としては、
[2] 地山の掘削作業主任者は選任されていたが、工事に係る明確な作業手順が定められていなかったこと。
このため、指示された作業方法による作業が行われなかったものである。
[3] 現場所長は当該部分に係る安全確保上の指示を行っていたものの、作業中の監督等の確認措置を十分にとっていなかったこと。
このため、作業が指示通りに行われていないにもかかわらず、的確な指示をすることができなかったものである。
[4] 道路下部の埋設物の調査を行っていなかったこと。
このため、水道管を破損してしまい、作業が予定より遅れ、関係者にあせりが出て、指示された作業方法の不履行につながったと考えられる。
[5] 道路下部の地質の調査を行っていなかったこと。
崩壊箇所は農道工事の際に粘性土の上に砕石まじりの土砂が盛土されており、切土法面勾配の検討に資するため、事前に調査が行われていたが、調査は粘性土について行われたものであり、崩壊箇所の土質については検討されていなかった。
対策
[1] 地山の掘削作業を行うにあたっては、事前に地質調査及び埋設物の調査を行い、これに適応する掘削公配、掘削順序により作業を行うこと。また、これを作業者に周知徹底すること。[2] 地山が崩壊するおそれのある場合には、土止め支保工の設置等の措置を講ずること。
[3] 深さ2m以上の地山の掘削作業においては、地山の掘削作業主任者を選任し、作業方法の決定、作業の直接指揮等を行わせること。
また、元請事業者としては、
[4] 下請が適切な作業方法で作業を行っているかの確認及び指導を行うこと。
が重要である。
厚生労働省