安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。
JISはJapanese Industrial Standardsの頭文字をとったもので、正式名称は「日本産業規格」といい、日本の工業標準化の促進を目的とする法律に基づき制定される国家規格です。
国家規格の目的は、互換性の確保、公正性の確保、技術進歩の促進などのほか、安全や健康の保持、環境の保全等もあり、これらを技術文書として国レベルの工業規格を制定し、さらに全国的に「統一」または「単純化」することです。
国際化が進んでいる現在では、国家規格を国際規格と整合させて世界的に「統一」または「単純化」することが進んでいます。日本はJISを国際規格と整合させることを、世界貿易のルール作りをしている世界貿易機関(WTO)と約束をしています。安全の分野では特に「統一」が重要視され、多くの国際規格(ISOとIEC)が発行され、それらはJISとして制定されます。また技術の進歩に応じ、国際規格と対応するJISは改廃されていきます。
なお、国際規格と国家規格は国情に合わせて多少の調整が認められていますので完全には一致していません。
JISマーク表示制度は、工業標準化法第19条、第20条等に基づき、国に登録された民間の第三者機関(登録認証機関)から認証を受けることにより、JISマークを表示することができる制度です。認証可能なJIS製品規格がある製品が対象です。
下記の(1)〜(3)のとおり、鉱工業品、加工技術、特定側面ごとに表示の様式は異なっています。
(1)鉱工業品 | (2)加工技術 | (3)特定側面 |
JISマークは紛らわしい表示を付すことは禁じられています。
平成17年10月1日より新JISマーク制度が始まっており、平成20年10月1日以降は、製品などに旧JISマークを製品に付することは出来なくなっています。参考までに、旧JISマークを下記に示します。
日本産業規格(JIS)は、労働安全衛生の分野でも活用されています。
労働安全衛生法の規定に基づく構造規格には、プレス機械又はシャーの安全装置構造規格、保護帽の規格などのほか25種類、衛生関係の構造規格には、防じんマスクの規格などのほか6種類があり、要求事項や性能が規定されています。労働安全衛生の分野では、構造規格がある製品に関する日本産業規格(JIS)は、構造規格に従いながら、安全や健康の保持のため、国レベルの工業規格として制定された技術文書といえるでしょう。
産業現場で使用される機械等による労働災害を防止するため、「第12次労働災害防止計画」においては、機械を供給する機械関連業界と連携し、機械の種類ごとの安全基準・規格を評価し、活用する仕組みの構築を検討するともに、一定水準の安全基準・規格が確保された機械の使用を推奨しています。
機械等の技術基準の見直しにおいも、構造規格等の技術基準を設定する際、技術基準の整合化等を促進するため、日本産業規格(JIS規格)等を積極的に引用することで機械災害を防止することが期待できます。
インターネットのJISC(日本工業標準調査会)ホームページのデータベースの「JIS検索」の画面から閲覧できます。但し、著作権保護のため保存と印刷はできません。
JISC(日本工業標準調査会)は経済産業省に設置されている審議会で工業標準化に関する審議を行っています。