安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。
科学技術用語として「爆発」という場合、化学反応(燃焼)による気体の急激な熱膨張を意味し、気体が膨張する速度(炎が伝播する速度)が、衝撃波を伴い音速に達するものを「爆轟」、音速に達しないものを「爆燃」と呼んで区別することがあります。また、化学反応によらない「爆発」現象として、水が高温物質と接触することにより、気化されて発生する「水蒸気爆発」、可燃性の気体(ガス)の急速な熱膨張により発生する「ガス爆発」、核分裂反応・核融合反応を短時間のうちに連続して起こすことにより生成される「核爆発」などがあります。
空気中に浮遊する可燃性の固体微粒子(粉じん)が、発火源が存在したため引火し、爆発燃焼を起こした現象で、急激な発熱や空気の膨張で、火災と爆発音を発し、甚大な被害を惹起します。
固体微粒子は、体積に対する表面積が占める割合(比表面積:固体微粒子が酸素と接触する面積)が大きいため、空気中に十分な酸素が存在すれば、燃焼反応に敏感な状態となり、火気があれば強いエネルギーを伴って燃焼します。そのため、粉じん爆発は、以下の3つの条件が揃った時に発生します。
また、粉じん爆発を引き起こす「発火源」として、以下が挙げられます。
粉じん爆発は、空気中に浮遊する粉じんが燃焼し、継続し、伝播していくことで発生します。粉じんは、何かの発火源により空気中の酸素と反応し燃焼し、熱源となり、次々に隣りの粉じんに熱を反応させ、連鎖的な燃焼を引き起こしますが、浮遊する粉じん粒子間の距離が開き過ぎていると燃焼が伝播せず、逆に、粉じん粒子間の密度が濃すぎると、燃焼するための十分な酸素が粒子間の空間に入り込めないため、燃焼を継続することができません(即ち、いずれの場合も爆発は発生しません)。
粉じん爆発を伝播させるためには、粉じん粒子間の距離は一定値以下である必要があり、単位体積あたりの最低の密度は「爆発下限濃度」と呼ばれます。一方、燃焼を継続するためには、酸素が入り込める適度な隙間が開いている必要があり(粉じんの密度が濃過ぎると、逆に燃焼を継続させることができません)、「爆発上限濃度」と呼ばれ、どちらも爆発の危険性を評価する指標の一つとなっています。