安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。
元素の最小単位である原子は、正電荷をもつ陽子の周囲を、負電荷をもつ電子が周回し、陽子と電子の量は安定しています。
ところが、物体間の摩擦、接触等により、負電荷をもつ電子が密接し、一方の物体の表面から、もう一方の物体の表面に電荷が移動すると、密接した物体が分離する際、物体は「正(プラス)」か「負(マイナス)」のどちらかに帯電します。
即ち、電子が取り去られた(電子を失った)物体は正の帯電となり、電子が増加した(電子を得た)物体は負の帯電となり、物体が帯電している(プラスかマイナスの電荷を帯びている)状態を「静電気」といいます。
電気は、電子が相対的に多く存在する(電子密度が大きい)場所から、相対的に少ない(電子密度が小さい)場所へ移動しますが、蓄積された「静電気」のエネルギーが放電(電子が放出され、電流が流れる現象)した際の放電火花により、火災、爆発、電撃、二次災害等、様々な災害が発生しています。
これらの場合、静電気による放電が、火災、爆発の着火源となっているのですが、静電気及びその危険性に対する認識が不十分であると、「ある日突然」火災や爆発が発生した、という事態を招きます。また、静電気による災害は、相対湿度の低い時期に多く発生していましたが、近年、帯電し易い高分子化合物が多くの産業分野で使用されており、時期と場所を問わず発生しています。
放電により、溶剤、溶剤含有物、紛体へ引火し、火災、爆発を引き起こしています。また、災害が発生した主な業種は、ゴム製品製造業、化学工業、パルプ・紙・紙製品製造業、繊維工業、ガラス・セメント製品製造業となっています。