安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。
足場(あしば)とは、工事現場などで作業するための仮設の作業床や通路およびそれらを支持する構造物のことです。足場の構造は、支柱足場と吊り足場に大別され、支柱足場は一般的な建築物や土木構造物では広く用いられていますし、橋梁やダム工事では吊り足場が用いられています。足場の種類については、枠組足場が非常に多く、次いで単管足場、単管傾斜足場、ブラケット足場等があります。最近の支柱足場は金属製の足場がほとんどですが、丸太や板材も使用されています。
足場では、さまざまな事故が発生しています。人の転落・墜落、物の飛来・落下、足場の崩壊・倒壊などです。こうした事故への防止策を次に示します。
足場の組立あるいは解体中の墜落事故防止には、手すり先行工法および足場の安全点検をおこないます。
足場の上で作業中の墜落事故防止には、足場の全層に2段手すり、つま先板の設置、あるいは狭くするなど足場の安全化と安全点検をおこないます。
足場の上から工具や資材などが落下して、下にいる作業者あるいは通行人が死傷する事故が多数発生しています。事故の防止には、つま先板(高さ10cm以上)の設置および足場の安全点検をおこないます。また「メッシュシート」や「防網」を張る事も行われます。
足場の崩壊・倒壊の事故では作業者のほか、通行人など第3者も被災することがあります。壁つなぎを適切に取る、十分な強度の壁つなぎを使用する、足場の脚部の沈下および滑動を防止するなどを行います。「メッシュシート」や「防網」を設置すると風の力をより強く受けますので対策が必要です。
足場からの墜落・転落による労働災害は、全産業における災害の減少に伴って減少していますが、依然として高い水準にあります。全体の9割が建設業において発生し、中でもビル建設工事、木造建築工事で多発しています。その死亡災害の95%は2m以上の高所で発生していますが、休業4日以上の災害の4割は2m未満の足場からの墜落・転落ですから足場の高さを問わず十分な墜落防止措置、保護帽と安全帯の装着、作業手順の周知、安全衛生教育が必要です。