安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。
事業者は、一定の有害な業務に従事する労働者に対し、医師による特別の項目について健康診断を行わなければなりません。更に、このうちの一部の業務については、それらの業務に従事させなくなった場合においても、その者を雇用している間は、医師による特別の項目について健康診断を定期的に(期間は業務の種類により異なる)行わなければなりません。また、労働者は、事業者が行う健康診断を受けなればなりません。
特殊健康診断の結果によっては、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮などの措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は改善などの適切な措置を講じなければなりません。また、記録を作成し、5年間、30年間又は40年(業務の種類により異なる)保存する必要があります。
特殊健康診断の実施は、法で事業者に義務を課していることから、その費用は、事業者が実施すべきものであり、また、業務の遂行にからんで実施されなければならないものであるので、受診に要する時間は労働時間であり、時間外に行われた場合には割増賃金を支払わなければなりません。
労働安全衛生法で特殊健康診断を実施しなければならないとされている業務は、次のとおりです。
なお、これらのうち、一定の特定化学物質業務や石綿業務などについては、それらの業務に従事しなくなった場合でも実施しなければなりません。
このほか、情報機器作業(VDT作業)や振動業務などにおいては、特殊健康診断の実施が指導勧奨されています。
前記2の他に、業務内容などにより、行わなければならない健康診断には、深夜業を含む業務などに従事する労働者に対して行われる「特定業務従事者の健康診断」、海外に6月以上派遣する労働者に対して行われる「海外派遣労働者の健康診断」、「給食従業員の検便」、塩酸、硝酸、硫酸などを発散する場所における業務を行う労働者に対して行われる「歯科医師による健康診断」などがあります。また、常時粉じん作業に従事させる労働者に対しては、じん肺法に基づくじん肺健康診断を定期的に実施しなければなりません。