安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。
GHSは、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)の略語です。これは化学物質及び化学物質を含む混合物を譲渡又は提供する際の危険性・有害性の特定(分類)、表示及び文書交付による化学物質の危険性・有害性の情報伝達に関する世界的な統一システムです。
GHSの目的は、危険性・有害性に関する情報を取扱う人に適切に伝えることにより人の安全と健康を確保し、環境を保護することです。効果としては、以下を期待しています。
化学品の危険性・有害性に関する情報伝達の範囲として、現在GHSが分類対象としている種類は、次の通りです。
※ここではGHSにおける用語で記載しています。JIS規格では一部異なる用語となるものがありますが、その趣旨は同一です。
GHSは、全ての危険有害な化学品(純粋な物質、その希釈溶液、混合物)に適用されます。ただし、物品(Article)は除かれます。また、医薬品、食品添加物、化粧品、あるいは食物中の残留農薬は、意図的な摂取という理由から対象としません。
危険性・有害性に関する情報提供の対象者としては、消費者、労働者、輸送担当者、緊急時対応者が含まれます。
GHSは、危険性・有害性に関する種類ごとに、その重大性を判定する基準を設定しています。化学物質の持つ危険性・有害性に関する情報を判定基準に当てはめて区分を決定します。
混合物の分類は、混合物について危険性・有害性情報がある場合はそのデータを使用し、データがない場合には、「つなぎの原則」等を適用して行います。
GHSは、ラベル(表示)に必要な項目として、絵表示、注意喚起語、危険有害性情報、注意書き等を定めていますが、これらは区分が決まれば自動的に決まります。なお、危険性・有害性を表す絵表示については、記載の重複をなくし、わかりやすくするため優先順位があります。また、GHSでは、化学物質及び化学物質を含んだ製品を譲渡、提供する際に、その製品についての危険性・有害性情報を記載した文書として安全データシート(SDS:Safety Data Sheet)の書式を定めています。
SDSに記載する事項として、次の16項目を定めており、日本では、その内容がJIS規格に定められています。JIS規格に従い作成されたSDSであれば労働安全衛生法令に規定された事項を満たすとされています。
※ここではGHSにおける用語で記載しています。JIS規格では一部異なる用語となるものがありますが、その趣旨は同一です。