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安全衛生キーワード(用語集)

安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。

GHS

1 GHSとは

GHSは、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)の略語です。これは化学物質及び化学物質を含む混合物を譲渡又は提供する際の危険性・有害性の特定(分類)、表示及び文書交付による化学物質の危険性・有害性の情報伝達に関する世界的な統一システムです。

2 GHSの概要

GHSの目的は、危険性・有害性に関する情報を取扱う人に適切に伝えることにより人の安全と健康を確保し、環境を保護することです。効果としては、以下を期待しています。

  • 危険有害性の情報伝達に関し国際的に統一されたシステムにより人の安全と健康、環境の保護が強化される。
  • システムをもたない国に対しGHSの枠組が提供される。
  • 化学品の試験および評価の必要性が減少する。
  • 危険性・有害性が適正に評価された化学品の国際取引が促進される。

化学品の危険性・有害性に関する情報伝達の範囲として、現在GHSが分類対象としている種類は、次の通りです。
※ここではGHSにおける用語で記載しています。JIS規格では一部異なる用語となるものがありますが、その趣旨は同一です。

・物理化学的危険性:
爆発物、可燃性ガス、エアゾールおよび加圧下化学品、酸化性ガス、高圧ガス、引火性液体、可燃性固体、自己反応性物質および混合物、自然発火性液体、自然発火性固体、自己発熱性物質および混合物、水反応可燃性物質および混合物、酸化性液体、酸化性固体、有機過酸化物、金属腐食性物質、鈍性化爆発物
・健康に対する有害性:
急性毒性、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性、呼吸器感作性または皮膚感作性、生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性、特定標的臓器毒性(単回ばく露)、特定標的臓器毒性(反復ばく露)、誤えん有害性
・環境に対する有害性:
水生環境有害性、オゾン層への有害性

GHSは、全ての危険有害な化学品(純粋な物質、その希釈溶液、混合物)に適用されます。ただし、物品(Article)は除かれます。また、医薬品、食品添加物、化粧品、あるいは食物中の残留農薬は、意図的な摂取という理由から対象としません。

危険性・有害性に関する情報提供の対象者としては、消費者、労働者、輸送担当者、緊急時対応者が含まれます。

GHSは、危険性・有害性に関する種類ごとに、その重大性を判定する基準を設定しています。化学物質の持つ危険性・有害性に関する情報を判定基準に当てはめて区分を決定します。

混合物の分類は、混合物について危険性・有害性情報がある場合はそのデータを使用し、データがない場合には、「つなぎの原則」等を適用して行います。

GHSは、ラベル(表示)に必要な項目として、絵表示、注意喚起語、危険有害性情報、注意書き等を定めていますが、これらは区分が決まれば自動的に決まります。なお、危険性・有害性を表す絵表示については、記載の重複をなくし、わかりやすくするため優先順位があります。また、GHSでは、化学物質及び化学物質を含んだ製品を譲渡、提供する際に、その製品についての危険性・有害性情報を記載した文書として安全データシート(SDS:Safety Data Sheet)の書式を定めています。

SDSに記載する事項として、次の16項目を定めており、日本では、その内容がJIS規格に定められています。JIS規格に従い作成されたSDSであれば労働安全衛生法令に規定された事項を満たすとされています。
※ここではGHSにおける用語で記載しています。JIS規格では一部異なる用語となるものがありますが、その趣旨は同一です。

  1. [1] 物質または混合物および会社情報
  2. [2] 危険有害性の要約
  3. [3] 組成および成分情報
  4. [4] 応急措置
  5. [5] 火災時の措置
  6. [6] 漏出時の措置
  7. [7] 取扱いおよび保管上の注意
  8. [8] ばく露防止および保護措置
  9. [9] 物理的および化学的性質
  10. [10]安定性および反応性
  11. [11]有害性情報
  12. [12]環境影響情報
  13. [13]廃棄上の注意
  14. [14]輸送上の注意
  15. [15]適用法令
  16. [16]その他の情報

3 関連資料(法令、指針、参考HP)

法令

参考HP