安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。
衛生管理者は、労働安全衛生法第12条第1項により、一定の規模の事業場ごとに選任が義務付けられているものです。
衛生管理者を選任しなければならない事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場です。
衛生管理者の選任は、衛生管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に行い、衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、選任報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。
また、衛生管理者はその事業場に専属の者を選任しなければなりません。ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合において、当該衛生管理者の中に労働衛生コンサルタントがいるときは、当該者のうち1人については、この限りではありません。
なお、衛生管理者を選任することができないやむを得ない事由がある場合で、所轄都道府県労働局長の許可を受けたときは選任が免除されます。この許可は、衛生管理者の突然の死亡、退職等特殊の事由により欠損を生じたが、その充足に期間を要することがやむを得ないと認められるときで、特定の者を衛生管理の業務に従事させることを条件として、かつ、おおむね一年以内の期間に限って行うことなどの要件が設けられています。
さらに、事業場の規模(常時使用する労働者数)に応じて、次の表に掲げる数以上の衛生管理者を選任しなければなりません。
事業場の規模(常時使用する労働者数) | 衛生管理者の数 |
---|---|
50人以上200人以下 | 1人 |
200人を超え500人以下 | 2人 |
500人を超え1,000人以下 | 3人 |
1,000人を超え2,000人以下 | 4人 |
2,000人を超え3,000人以下 | 5人 |
3,000人を超える場合 | 6人 |
衛生管理者には、第一種衛生管理者免許を有する者、第二種衛生管理者免許を有する者、衛生工学衛生管理者免許を有する者の区分があり、事業場の業種に応じ、次の表に示すところにより衛生管理者を選任しなければなりません。
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 | 第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は労働安全衛生規則10条各号に掲げる者(医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等) |
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上記以外の業種 | 第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は労働安全衛生規則10条各号に掲げる者(医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等) |
第二種衛生管理者免許のみを有する者は、農林畜水産業や製造業等の衛生管理者に選任することができないことに注意する必要があります。
次の事業場は、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければなりません。
常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から第5号まで若しくは第9号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの
労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から5号まで若しくは第9号に掲げる業務(参考)
次の表に掲げる事業場においては、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者にしなければなりません。
常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条各号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの
労働基準法施行規則第18条各号に掲げる業務(参考)
衛生管理者の資格は、都道府県労働局長の免許を受けた者、医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等とされています。
衛生管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければなりません。
衛生管理者の職務は、総括安全衛生管理者の職務とされる次の事項のうち、衛生に係る技術的事項とされています。
なお、衛生に係る技術的事項について、必ずしも衛生に関する専門技術的事項に限る趣旨ではなく、総括安全衛生管理者が統括管理すべき労働安全衛生法第10条第1項の業務のうち衛生に関する具体的事項をいうものであることとされています。
衛生管理者が行うべき具体的な措置として次の事項が示されています。
なお、これらの事項は昭和47年に示されたもので、その後の労働安全衛生法の改正によって、次の事項が総括安全衛生管理者の職務として追加されているので、衛生管理者の職務もこれらに関する事項も含まれることになります。
事業者は、選任した衛生工学衛生管理者に、上記の事項のうち、衛生に係る技術的事項で衛生工学に関するものを管理させなければなりません。
衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。
また、事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければなりません。