安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。
労働安全衛生規則第151条の4において、事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、当該作業の作業指揮者を定め、その者に作業計画に基づき作業の指揮を行わせなければならないと規定されています。労働安全衛生規則第151条の3には、車両系荷役運搬機械等(フォークリフト、ショベルローダー、フォークローダー、ストラドルキャリヤー、不整地運搬車、構内運搬車注1)、貨物自動車注2))を用いて作業を行う時は、あらかじめ当該作業にかかる場所の広さ及び地形、当該車両系荷役運搬機械等の種類及び能力、荷の種類及び形状等に適応する作業計画を定めなければならないとされています。さらに、この計画には当該車両系荷役運搬機械等の運行経路及び作業方法が示されること及びこの計画を関係作業者に周知しなければならないことも定められています。
注1)専ら荷を運搬する構造の自動車(長さ:4.7メートル以下、幅:1.7メートル以下、高さ2.0メートル以下のものに限る)のうち、最高速度が毎時15キロメートル以下のもの(不整地運搬車を除く)をいう。
注2)専ら荷を運搬する構造の自動車(不整地運搬車及び構内運搬車を除く)をいう。
したがって、これらの車両系荷役運搬機械等を用いて荷役運搬作業を行う時は、事業者は作業指揮者を選任し、この者に作業を指揮監督させなければなりません。作業指揮者の指名にあたっては、以下の@〜B等を検討し、適切に作業指揮を行える者を選任することが大切です。
労働安全衛生規則第151条の62、第151条の70及び第420条において、構内運搬車、貨物自動車、貨車に、一の荷でその重量が100キログラム以上のものを積む又は卸す作業を行う時は、積卸し作業指揮者を定め、その者に作業を直接、具体的に指揮させなければならないと定められています。一の荷とは、貨物取扱い作業において取扱いの対象となる一単位の重量物をいうとされています。人力、フォークリフト、クレーン等で一度に取扱う荷が100キログラム以上となる場合に、積卸し作業、ロープ掛け・外し作業、シート掛け・外し作業を複数の作業者で行う時に、作業指揮者の選任が必要になります。ただし、フォークリフト等車両系荷役運搬機械等を用いて、積卸し荷役を行う時は、車両系荷役運搬機械等の作業指揮者が、積卸し作業指揮者を兼ねて差し支えないものとされています。この場合、両方の作業指揮を十分に行うことができるよう必要な教育を受けている者を作業指揮者に選任しなければなりません。