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安全衛生キーワード(用語集)

安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。

統括安全衛生責任者

統括安全衛生責任者は、一定の業種について一の場所ごとに選任され、複数の関係請負人の労働者が混在する場所等で労働災害防止に関して指揮及び統括管理を行う必要があります。

1 統括安全衛生責任者の選任

統括安全衛生責任者を選任しなければならない業種等については、以下のとおりです。

1) 業種

  • 統括安全衛生責任者を選任しなければならない業種は建設業、造船業の2業種で、これらは特定事業といわれます。一の場所で行う仕事の一部を関係請負人(協力会社)に請け負わせている最も先次の注文者を元方事業者といいますが、特定事業の場合は、元方事業者が同一の場所で、複数の関係請負人に仕事を請け負わせることが多いことから、混在作業時における労働災害防止の観点より、特定事業の元方事業者は、特定元方事業者と定められ、安衛法令上の各種義務を負っています。

2) 一の場所

  • 一の場所の範囲については、労働者の作業の混在性を考慮して定められます。なお、一般的には以下のとおり。
建築工事関係 ビル建設工事 当該工事の作業場の全域
鉄塔建設工事 当該工事の作業場の全域
送配電線電気工事 当該工事の工区ごと
変電所又は火力発電所建設工事 当該工事の作業場の全域
土木工事関係 地下鉄道建設工事 当該工事の工区ごと
道路建設工事 当該工事の工区ごと
ずい道建設工事 当該工事の工区ごと
橋りょう建設工事 当該工事の作業場の全域
水力発電所建設工事 堰堤工事の作業場の全域
水路ずい道工事の工区ごと
発電所建設工事の作業場の全域
造船業関係 船殻作業場の全域、艤装又は修理作業場の全域、造機作業場の全域又は造船所の全域

3) 選任要件

  • 下表のとおり、工事の種類により選任要件が異なります。また、店社安全衛生管理者についても、工事の種類及び一の場所の規模に応じ選任要件が異なりますので、選任すべき工事の種類と一の場所における規模について、統括安全衛生責任者(及び元方安全衛生管理者、安全衛生責任者)と店社安全衛生管理者の選任区分を整理すると、下表のとおりとなります。
規模;労働者数
工事の種類 20人以上 30人以上 50人以上
(1)ずい道等の建設の仕事 店社安全衛生管理者 統括安全衛生責任者
元方安全衛生管理者
安全衛生責任者
(2)圧気工法による作業を行う仕事 店社安全衛生管理者 統括安全衛生責任者
元方安全衛生管理者
安全衛生責任者
(3)一定の橋梁の建設の仕事 店社安全衛生管理者 統括安全衛生責任者
元方安全衛生管理者
安全衛生責任者
(4)鉄骨造り、鉄骨鉄筋コンクリート造りの建築物の建設の仕事 店社安全衛生管理者 統括安全衛生責任者
元方安全衛生管理者
安全衛生責任者
(5)その他の仕事
(造船現場、木造建築、改修補修工事現場等)
統括安全衛生責任者
元方安全衛生管理者
安全衛生責任者
注1. (1)〜(4)の仕事において、(元方安全衛生管理者含め)統括安全衛生責任者を選任し、指揮及び統括管理させた場合は、店社安全衛生管理者を選任し、当該職務を行わせているものとみなされます。(安衛則第18条の6第2項)
注2. (1)〜(5)の仕事において、建設業における元方事業者が、統括安全衛生責任者を選任した場合は専属の者とするよう努めてください。(元方事業者による建設現場安全管理指針)
注3. 「一定の橋梁」とは、人口が集中している地域内の道路もしくは道路に隣接した又は鉄道の軌道上もしくは軌道に隣接した場所をいう。(安衛則第18条の2)
注4. (1)の仕事のうち、出入口からの距離が1,000メートル以上の場所において作業を行うこととなるもの及び深さが50メートル以上となるたて坑(通路として用いられるものに限る。)の掘削をともなうもの、(2)の仕事のうち、ゲージ圧力0.1メガパスカル以上で行うこととなるものについては、建設業における元方事業者は救護に関する技術的事項を管理する者(救護技術管理者)を選任する必要があります。(安衛法第25条の2、安衛法第30条の3、安衛令第9条の2)

4) 選任者

  • 統括安全衛生責任者を選任(任命)するのは特定元方事業者です。

5) 資格

  • 統括安全衛生責任者は、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければなりません。なお、統括安全衛生責任者については、統括安全衛生管理に関する教育を受けた者のうちから選任するよう努めてください。(元方事業者による建設現場安全管理指針)

6) 報告

  • 特定元方事業者は、事業の開始後、遅滞なく、当該場所を管轄する労働基準監督署長へ特定元方事業者の事業開始報告を行わなければなりませんが、統括安全衛生責任者を選任しなければならないときは、その旨及び統括安全衛生責任者の氏名を併せて報告する必要があります。

7) 代理者の選任

  • 特定元方事業者は、統括安全衛生責任者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行なうことができないときは、代理者を選任しなければなりません。

2 統括安全衛生責任者の職務

統括安全衛生責任者の職務は元方安全衛生管理者を指揮して、次の事項について統括管理することです。

  1. 1) 協議組織の設置及び運営
  2. 2) 作業間の連絡及び調整
  3. 3) 作業場所の巡視
  4. 4) 関係請負人が行う労働者の安全衛生教育に対する指導及び援助
  5. 5) 仕事の工程に関する計画、作業場所における機械、設備等の配置計画を作成及び当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人が安衛法又はこれに基づく命令の規定に基づき講ずべき措置についての指導
  6. 6) その他労働災書を防止するために必要な事項

また、建設業における元方事業者については、「元方事業者による建設現場安全管理指針(平成7年4月21日付け基発第267号の2)」において、元方事業者が行うべき役割等についてもご確認の上、元方安全衛生管理者と一体となって現場の統括安全衛生管理に努めてください。

なお、救護技術管理者を選任した場合(注4参照)、統括安全衛生責任者は、救護技術管理者を指揮して、次の事項について統括管理しなければなりません。

  1. 1) 労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理
  2. 2) 労働者の救護に関し必要な事項についての訓練
  3. 3) 爆発、火災等に備えて、労働者の救護に関し必要な事項

3 関連資料(法令、通達)