安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。
SDSとは、安全データシート(Safety Data Sheet)の略語です。これは、化学物質および化学物質を含む混合物を譲渡または提供する際に、その化学物質の物理化学的性質や危険性・有害性及び取扱いに関する情報を化学物質等を譲渡または提供する相手方に提供するための文書です。 SDSに記載する情報には、化学製品中に含まれる化学物質の名称や物理化学的性質のほか、危険性、有害性、ばく露した際の応急措置、取扱方法、保管方法、廃棄方法などが記載されます。
SDSは、化学物質を製造、輸入する事業者が使用者および消費者の安全を確保するために、自主的に作成、配布する場合もありますが、特定の危険または有害な物質についてはその提供が法令により規制されています。また、ILO(国際労働機関)条約における取り決めやISO(国際標準化機構)での標準化をはじめとする国際的な枠組みが整備されており、海外でも欧米等の多くの国でSDSの提供が義務化されています。
我が国においても労働現場における化学物質の危険性・有害性等の情報を確実に伝達し、この情報を基に労働現場において化学物質を適切に管理することが必要であるとの認識から、平成12年4月から労働安全衛生法において、SDSの提供が義務化されました。平成15年に「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」が国際連合から勧告されたことを踏まえ、平成18年12月に改正された労働安全衛生法においてSDS制度の改善が図られ、諸外国でもGHSと整合を図るための取組が進められています。
国内におけるSDSに関する法規制としては、労働安全衛生法の他、毒物及び劇物取締法、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)があり、それぞれの法令において指定される化学物質に関しては、定められた形式のSDSの作成・配布が義務付けられています。なお、日本産業規格JIS Z 7253(GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法−ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS))では、標準化された記載内容が定められており、これに準拠して記載すれば、労働安全衛生法関係法令の規定を満足するとされています。
SDSを作成する際には、その化学品中に含まれる化学物質の種類、濃度等を把握し、物理化学的性質、危険性、有害性、事故時の応急措置、連絡措置等を記載する必要があります。
また、すべての情報を独自に調査することは困難であることから、メーカー等が提供する情報や、国内外の関係各団体等が公表している情報を参考にすることも有効な手段です。SDSを作成する際に参考と出来る情報としては以下のようなものがあります。