労働災害防止のために事業者が講ずべき措置義務については、従来から労働安全衛生法により定められています。しかし、これらは過去の災害等を教訓として作られた最低の基準であり、これを 守るだけでは、多種多様な作業が行われている職場の安全衛生対策として万全ではありません。
今、個々の会社(事業場)の作業の実態や特性を的確にとらえた会社自らが行う自主的な安全衛生対策が求められています。
法遵守型
関係法令(最低基準)を守りさえすればよい自主対応型
自主的かつ継続的に安全衛生水準の向上に取組む(1)のような安全衛生対策を行うために、具体的に何をしたら良いか。その答えの一つが『リスクアセスメン卜(危険性又は有害性等の調査)』です。
リスクアセスメントとは、事業者自らが作業現場にある危険性又は有害性を特定し、それによる労働災害(健康障害を含む)の重篤度(じゅうとくど)(災害の程度)とその災害が発生する可能性を組み合わせてリスクを見積り、そのリスクの大きさに基づいて対策の優先度を決めた上で、リスクの除去、低減措置を検討し、その結果を記録する一連の安全衛生管理手法です。事業者は、リスクアセスメントを行った結果に基づき、リスク低減措置を実施することになります。
このように、リスクアセスメントは、労働災害防止のための予防的手段(先取り型)であり、従来までの自社で発生した(他社で発生した)労働災害から学び、労働災害発生後に行う事後対策(後追い型)とは異なる取組みです。
後追い型
自主・同業他社等で過去に起きた災害から学ぶ安全衛生管理先取り型
潜在的な危険性又は有害性を未然に除去・低減させる事業者は、作業現場に潜んでいる危険の源(実際にケガや健康障害が起こったり、作業が中断したり、設備が損傷を受けたり、また、作業現場周辺の環境や公衆にまで害が及ぶような要因)をできるだけ取り除き、労働災害が生じない快適な作業現場にすることが必要です。