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危険性又は有害性等の調査等に関する指針
平成18年3月10日 厚生労働省公示
9 リスクの見積り
- (1) 事業者は、リスク低減の優先度を決定するため、次に掲げる方法等により、危険性又は有害性により発生するおそれのある負傷又は疾病の重篤度及びそれらの発生の可能性の度合をそれぞれ考慮して、リスクを見積もるものとする。ただし、化学物質等による疾病については、化学物質等の有害性の度合及びばく露の量をそれぞれ考慮して見積もることができる。
- ア 負傷又は疾病の重篤度とそれらが発生する可能性の度合を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸とし、あらかじめ重篤度及び可能性の度合に応じてリスクが割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法
- イ 負傷又は疾病の発生する可能性とその重篤度を一定の尺度によりそれぞれ数値化し、それらを加算又は乗算等してリスクを見積もる方法
- ウ 負傷又は疾病の重篤度及びそれらが発生する可能性等を段階的に分岐していくことによりリスクを見積もる方法
- (2) 事業者は、(1)の見積りに当たり、次に掲げる事項に留意するものとする。
- ア 予想される負傷又は疾病の対象者及び内容を明確に予測すること。
- イ 過去に実際に発生した負傷又は疾病の重篤度ではなく、最悪の状況を想定した最も重篤な負傷又は疾病の重篤度を見積もること。
- ウ 負傷又は疾病の重篤度は、負傷や疾病等の種類にかかわらず、共通の尺度を使うことが望ましいことから、基本的に、負傷又は疾病による休業日数等を尺度として使用すること。
- エ 有害性が立証されていない場合でも、一定の根拠がある場合は、その根拠に基づき、有害性が存在すると仮定して見積もるよう努めること。
- (3) 事業者は、(1)の見積りを、事業場の機械設備、作業等の特性に応じ、次に掲げる負傷又は疾病の類型ごとに行うものとする。
- ア はさまれ、墜落等の物理的な作用によるもの
- イ 爆発、火災等の化学物質の物理的効果によるもの
- ウ 中毒等の化学物質等の有害性によるもの
- エ 振動障害等の物理因子の有害性によるもの
また、その際、次に掲げる事項を考慮すること。
- ア 安全装置の設置、立入禁止措置その他の労働災害防止のための機能又は方策(以下「安全機能等」という。)の信頼性及び維持能力
- イ 安全機能等を無効化する又は無視する可能性
- ウ 作業手順の逸脱、操作ミスその他の予見可能な意図的・非意図的な誤使用又は危険行動の可能性
10 リスク低減措置の検討及び実施
- (1) 事業者は、法令に定められた事項がある場合にはそれを必ず実施するとともに、次に掲げる優先順位でリスク低減措置内容を検討の上、実施するものとする。
- ア 危険な作業の廃止・変更等、設計や計画の段階から労働者の就業に係る危険性又は有害性を除去又は低減する措置
- イ インターロック、局所排気装置等の設置等の工学的対策
- ウ マニュアルの整備等の管理的対策
- エ 個人用保護具の使用
- (2) (1)の検討に当たっては、リスク低減に要する負担がリスク低減による労働災害防止効果と比較して大幅に大きく、両者に著しい不均衡が発生する場合であって、措置を講ずることを求めることが著しく合理性を欠くと考えられるときを除き、可能な限り高い優先順位のリスク低減措置を実施する必要があるものとする。
- (3) なお、死亡、後遺障害又は重篤な疾病をもたらすおそれのあるリスクに対して、適切なリスク低減措置の実施に時間を要する場合は、暫定的な措置を直ちに講ずるものとする。
11 記録
事業者は、次に掲げる事項を記録するものとする。
- (1) 洗い出した作業
- (2) 特定した危険性又は有害性
- (3) 見積もったリスク
- (4) 設定したリスク低減措置の優先度
- (5) 実施したリスク低減措置の内容