建設業では、わが国の国内総生産(GDP)の6.1%(平成20年、内閣府調べ)、就業者数の8.2%(平成21年、総務省調べ)を占めています。
労働災害については、減少傾向を維持し、特に死亡災害については、平成5年の時点で953人であったものが、平成21年においては371人になるなど、その減少傾向が顕著ですが、依然として建設業では、全産業の死亡災害のうち3分の1以上を占め、死傷災害では5分の1以上を占めています。
また、災害の直接原因をみると、開口部に手すりがない等労働災害を防止するための基本的な措置が講じられていなかった事例が散見される等の問題点が認められています。さらに、近年の建設業を取り巻く厳しい経営環境の下、公共工事の減少に伴う競争の激化を背景としたいわゆるダンピング受注は、労働災害防止対策の不徹底等をもたらすことが懸念されています。
一方、建設業では、重層請負構造の下、次のような事業の特性を有しており、このような性質を踏まえた労働災害防止対策を講じていく必要があります。
このようなことから、労働安全衛生法では、重層請負構造がみられる建設業においては、元方事業者による統括安全衛生管理について規定しており、具体的には、現場における元方事業者による統括管理の実施、関係請負人を含めた安全衛生責任体制の確立を基本に、現場を管理する本店、支店、営業所等がそれぞれ現場への安全衛生指導・援助を的確に行うとともに、関係の事業者が必要な安全衛生対策を講じていくことを求めています。
さらに、労働安全衛生法では、事業者が講ずべき具体的な措置のほか、事業者に職場における危険性又は有害性等の調査及びその結果の基づく対策の実施(以下「リスクアセスメント」という。)を求めており、具体的な進め方についても厚生労働省から指針が示されています。
この事業者とは、労働者を使用するものとされており、個人企業の場合にはその事業主個人、会社その他の法人の場合には法人そのものをさすことになります。事業者は、労働者に対し成果の報酬を支払うのみならず、労働者一人一人の安全と健康を確保し、安心して働ける職場を提供しなければなりません。安心して働ける職場づくりには、作業にかかる前に災害原因となる危険性又は有害性を取除く先取りの安全が不可欠であり、その基本的な枠組みを定める方法がリスクアセスメントにほかなりません。
現在、建設現場では、危険予知ミーティングが定着し、これをさらに発展させ、リスクアセスメントの手法を取り入れたリスク危険予知(KY)活動も進められていますが、これらの多くは、作業に掛かる直前に行われており、主として個々の作業者を対象とした作業行動面の対策です。
これに対し、リスクアセスメントは、作業計画時等に十分に時間をかけて実施し、作業の段取りや手配に支障がないよう、主として設備面や適正配置等の問題を解決しておくなど労働災害防止対策の根幹をなすものであり、また、その経費は、原価に反映されることから、経営者が責任を持って実施していくことが不可欠です。
建設業の休業4日以上の死傷災害について事故の型別にみると、「墜落・転落」によるものが圧倒的に多く1/3を占め、「はさまれ・巻き込まれ」、「飛来・落下」及び「切れ・こすれ」が合わせて1/3を占めています。
建設業では、このように仮設物・建設物や設備からの「墜落・転落」、機械、設備による「挟まれ、巻き込まれ」のほか、種々の原因による災害が発生しています。
また、建設現場では、多種多様な作業が行われ、新たな作業方法の採用、変更及び作業の機械化などが進んでおり、それらの実態や特性にあった安全衛生対策を行っていく必要があります。
職場の様々な危険の芽(リスク)を見つけ出し、災害に至る前に、先手を打って対策を施し、リスクの除去・低減措置を行い、更なる労働災害の減少を図るための手法の一つが前述の「リスクアセスメント」です。
このリスクアセスメントの一層の普及・定着を図る観点から、リスクアセスメント実施支援システム(以下「システム」という。 )は、インターネット上で事業者等が自社の作業名等を入力したり、選択したりすることにより、その作業についてのリスクの見積り等が容易に実施できることを目的として作成したものです。
このシステムに関しては、平成22年3月に製造業の製品組立作業、成形作業等11作業について公表ししていますが、今回対象とする業種・作業は、建設業の15種類の専門工事です。
建設現場では、28業種が50万の事業者の下で生産活動をしておりますが、実際の工事の担い手は、専門工事業者とその作業者です。
この専門工事業者とその作業者が安全な作業を進めていくためには、前述したような建設業の特性からくる安全衛生上の問題が存在します。このような問題点の解決には、現場で生産活動を請負った専門工事業者と作業者の対応だけでは不十分であり、発注者から請負った元方事業者、材料を支給し設置した設備等を使用させる注文者、仕事を請負現場で作業する専門工事業者の三者がそれぞれの安全衛生上の責任を果たす立場からリスクアセスメントを実施しなければなりません。特に、元請事業者については、現場において、専門工事業者に対しリスクアセスメントに関し必要な指導・援助を行うことが労働災害の防止において必要不可欠です。
しかしながら、一方で、直接現場の作業に携わるのは専門工事業者であり、現場の状況を熟知した専門工事業者がまず安全衛生対策を講ずることが必要であり、その一環として、リスクアセスメントを実施することが重要です。また、専門工事の種類は、多岐にわたり、それぞれの工事の種類・内容に応じたリスクアセスメントを工夫する必要があります。
このような観点から、このシステムは、建設業の専門工事業を対象として、インターネット上で事業者等が自社の作業名等を入力したり、選択したりすることにより、リスクアセスメントにおけるリスクの見積り等が容易に実施できることを目的として作成したものです。 したがってこのシステムは、専門工事を行う事業者やその安全衛生担当者の立場からリスクアセスメント行う際に使用することを基本に考えています。
建設業について本システムを導入するに当たり、
等を考慮して、次の15種類の専門工事業の作業を選定しました。
このようなことから、労働安全衛生法では、重層請負構造がみられる建設業においては、元方事業者による統括安全衛生管理について規定しており、具体的には、現場における元方事業者による統括管理の実施、関係請負人を含めた安全衛生責任体制の確立を基本に、現場を管理する本店、支店、営業所等がそれぞれ現場への安全衛生指導・援助を的確に行うとともに、関係の事業者が必要な安全衛生対策を講じていくことを求めています。
さらに、労働安全衛生法では、事業者が講ずべき具体的な措置のほか、事業者に職場における危険性又は有害性等の調査及びその結果の基づく対策の実施(以下「リスクアセスメント」という。)を求めており、具体的な進め方についても厚生労働省から指針が示されています。
この事業者とは、労働者を使用するものとされており、個人企業の場合にはその事業主個人、会社その他の法人の場合には法人そのものをさすことになります。事業者は、労働者に対し成果の報酬を支払うのみならず、労働者一人一人の安全と健康を確保し、安心して働ける職場を提供しなければなりません。安心して働ける職場づくりには、作業にかかる前に災害原因となる危険性又は有害性を取除く先取りの安全が不可欠であり、その基本的な枠組みを定める方法がリスクアセスメントにほかなりません。
現在、建設現場では、危険予知ミーティングが定着し、これをさらに発展させ、リスクアセスメントの手法を取り入れたリスク危険予知(KY)活動も進められていますが、これらの多くは、作業に掛かる直前に行われており、主として個々の作業者を対象とした作業行動面の対策です。
これに対し、リスクアセスメントは、作業計画時等に十分に時間をかけて実施し、作業の段取りや手配に支障がないよう、主として設備面や適正配置等の問題を解決しておくなど労働災害防止対策の根幹をなすものであり、また、その経費は、原価に反映されることから、経営者が責任を持って実施していくことが不可欠です。
これらの個々の作業について、特徴やそれを踏まえた選定の主な理由は、次のとおりです。