潜水土木工事中に潜水士が死亡
| 業種 | 港湾海岸工事業 | |||||
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| 事業場規模 | − | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 異常環境等 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | 港湾海岸工事 | ||||
| 災害の種類 | 酸欠 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | ||||||
| 発生要因(人) | ||||||
| 発生要因(管理) | ||||||
No.941
発生状況
災害発生当日は、既設岸壁のまわりの海底に設置されているブロックのうち10個を自航起重機船に積込み、撤去場所より東南方向へ約100m・水深18mの海底に仮置する作業であった。撤去及び仮置作業は、潜水士1名が水中電話により起重機船のオペレーターと連絡をとりながら、玉掛け及びつり具の取りはずしを行い、又仮置する場所を決めるものであった。
潜水士は、レギュレーター付全面マスクをかぶり、それに空気清浄器を接続し、その空気清浄器を背負い、作業を行った。また、空気清浄器は長さ100mの送気管に接続され、エアーコンプレッサーにより送気されていた。
事故が発生したのは、5個目のブロックの仮置が終了した直後であった。潜水士Aから仮置が終了したという合図がオペレーターBにあった直後、水中電話を通して「空気が少ない」との連絡を受けた。
このためオペレーターBは、「上にあがれ」という指示をしたが、何の連絡もなく、その後水中電話から「コーン、コーン」というマスクをたたくような音が聞こえ、続いて水中にエアーが吹き出す「ザーザー」という音が聞こえた。
オペレーターBは、起重機船の同乗者Cにコンプレッサーのゲージ圧の確認をさせるとともに、応援の潜水士を呼び、約5分後、送気管の巻き上げを行った。
約10秒ぐらいして、潜水士Aはうつ伏せになって水面まできた。この時全面マスクは顔からはずれていた。
潜水士Aは、船上に引き揚げられ、人口呼吸が続けられたが、死亡した。
原因
エアーコンプレッサーの送気圧が正常値の7気圧より低い4〜5気圧となっていたことから、エアーコンプレッサー又は潜水器具に異常があったことが原因と考えられる。対策
1 潜水業務を行う前に潜水器、送気管等潜水器具を点検すること。また、潜水作業者に危険又は健康障害の生ずるおそれがあると認めたときは、修理その他必要な措置を講ずること。2 潜水作業者に必要な量の空気が送気されているかどうか監視するとともに、送気装置等に異常が生じたときは、速やかに潜水作業者に連絡すること。
3 安全管理体制を確立するとともに、当該作業に対する作業標準を作成し、作業者に周知徹底させること。
厚生労働省