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労働災害事例

自動搬送ライン停止時に、プレス内部に入り挟まれる

自動搬送ライン停止時に、プレス内部に入り挟まれる
業種 自動車・同付属品製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 産業用ロボット
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.797

発生状況

本災害は、自動搬送ラインがトラブルで停止したときに、作業者が安全扉の安全プラグを抜かずに安全柵内に入り、プレス機械の金型上に置き忘れた油砥石を取ろうとしたときに、自動搬送ラインが復旧し、プレス機械の金型の上型と下型カム部の間に挟まれたために発生したものと推定される。
 災害が発生した自動搬送ラインは、大型プレス機械5台で構成され、乗用車のボディーパネル部品を加工製造していた。
 同ラインの東側側面については、安全柵で覆われており、西側側面については、各プレス機械の間が安全柵で囲われ、各プレス機械の側面は光線式安全装置が設置されていた。
 また、西側の安全柵には、各プレス機械の前後に安全扉が設けられており、安全プラグがセットされていた。
 災害発生当日、プレス機械の加工用金型の取り付けが終了し、作業員が1号機から順次、連動起動の操作を行っていった。
 3号機の連動起動の操作を行おうとした際に、被災者が油砥石を使用して、3号プレス機械の金型の磨き作業を行っていたため、被災者に3号機以降の連動起動を行うよう依頼し、その後、自動搬送ラインの全機械が自動運転された。
 製品を約15枚製造したときに、搬送用ロボットの異常により自動搬送ラインが停止した。
 このため、5号機の後方にいた作業員が、異常のあった3号搬送用ロボットのところへ行き、安全柵外のプレス操作盤を操作し、自動運転を再開させた。
 その後、製品の加工作業が終了し、次の段取り作業のため、3号プレス機械の後ろ側安全プラグを外して安全扉を開いたときに、金型と搬送用コンベヤの間に被災者が倒れているのを発見した。
 これらの状況から、被災者は、自動搬送ラインの運転開始後、金型の磨き作業に使用した油砥石を金型内に置き忘れたことに気付き、3号搬送用ロボットの異常により自動搬送ラインが停止した際に、安全扉の隙間から安全柵内に入り、3号プレス機械の金型内に身体を入れたところ、自動運転が再開され、挟まれたものと推定される。

原因

[1] 安全扉の安全プラグを抜かずに安全柵内に入り、プレス機械の金型の中に身体を入れたこと。
[2] 安全扉と安全プラグをつなぐチェーンの長さが長すぎたため、安全プラグを抜かずに安全柵内に入ることができたこと。
[3] 自動運転の再開の際に、自動搬送ラインの内部に人がいないことを十分に確認しないで運転を再開させたこと。
[4] 自動運転の再開を示すブザーから起動までの時間が短く、退避するための十分な時間がなかったこと。

対策

[1] プレス機械の金型の内部で作業を行う必要がある場合は、安全扉の安全プラグを抜き、安全ブロックを使用する等の措置を講ずること。
[2] 安全扉と安全プラグをつなぐチェーンの長さは、安全プラグを抜かずに安全柵内に入ることができないよう、適切な長さにすること。
[3] 自動運転の再開の際は、内部に人がいないことを十分に確認した後、運転を再開させること。
[4] 自動運転の再開を示すブザーから起動までの時間は、万一の場合、作業者が退避するために十分な時間を取ること。
[5] プレス機械作業者に対して十分な安全衛生教育を実施すること。