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労働災害事例

猛暑の中でのアーク溶接作業中に感電死

猛暑の中でのアーク溶接作業中に感電死
業種 その他の金属製品製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) アーク溶接装置
災害の種類(事故の型) 感電
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.782

発生状況

本災害は、猛暑の工場内で鋼製の窓格子枠を作成するため、アーク溶接作業をしていたところ、溶接棒ホルダーからの通電により感電死したものである。
 被災者は、会社が盆休みのため1人で午前10時頃から鋼製の窓格子枠の作成作業を開始した。窓格子枠は、はしご型のものを二段重ねて棚状にしたものである。溶接作業は、窓格子枠の部材を工場土間のH形鋼の架台に載せて行っていた。
 正午ごろ、事業主が工場へ行ったところ、H形鋼の架台に胸部を当てうつ伏せに倒れている被災者を発見した。
 被災者の腰部の上には、通電中の溶接棒ホルダーが載っており、その溶接棒ホルダーには未使用の溶接棒がセットされていたが、『く』の字に折れ曲がっていた。
 被災者の服装は、長袖、長ズボンの作業服、地下足袋、布製軍手姿であり、発見時、これらの作業服等は発汗によりびっしょり濡れていた。この日の気温は、30℃を超えており工場内は、窓が閉められた状態で扇風機も使用されていなかった。
 溶接機の概要は、定格二次電流200A(交流)、定格負荷電圧30V、最高二次無負荷電圧69V、定格一次電圧200V、定格一次入力8Kw、定格周波数60Hzであり、自動電撃防止装置は未設置であった。
 溶接機は出力電流160Aで使用しており、このときの定格負荷電圧が30V、電流は130〜150Aであった。また、無負荷電圧は60Vであった。
 溶接棒ホルダーやキャプタイヤコードには、破損等異常は認められなかった。
 電路の系統は、溶接機、溶接棒ホルダーを通じ、溶接棒を握った被災者の汗で濡れた軍手を通じ被災者が倒れ、そして、その弾みで溶接棒ホルダーが被災者の腰に載り、腰から胸へ、そして土間のH形鋼の母材側から溶接機へと通じたものと考えられる(図参照)。

原因

(1) アーク溶接機に、自動電撃防止装置を設置していなかったこと。
(2) 作業服、軍手が汗で濡れた状態で作業を行っていたこと。
(3) 保護手袋を使用していなかったこと。
(4) アーク溶接作業時の感電災害防止に関する教育をしていなかったこと。

対策

(1) アーク溶接機は、自動電撃防止装置を設置し使用すること。
(2) 汗で濡れた作業服、軍手で作業を行わないこと。
(3) 酷暑の工場内では、窓を開けたり、扇風機を使用すること。
(4) 保護手袋を使用すること。
(5) アーク溶接作業を行う場合の特別教育を行うこと。