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労働災害事例

シャックルのボルトが外れ、仮置きしようとした杭が転倒

シャックルのボルトが外れ、仮置きしようとした杭が転倒
業種 土木工事業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 玉掛用具
災害の種類(事故の型) 転倒
建設業のみ 工事の種類 土木工事
災害の種類 くい打機、くい抜機、ボーリングマシン等
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:-
不休者数:- 行方不明者数:-
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.766

発生状況

本災害は、駅周辺の立体交差工事の本体工事の終了に伴う土止め杭の撤去作業中、くい抜機で引き抜いた土止め杭(H鋼)に取り付けていたシャックルのボルトが外れ、杭を接地させる際の誘導を行っていた作業者に杭が激突したものである。
 災害が発生した工事は、駅の立体交差工事の本体工事が終了した後、本体工事に使用していた工事桁、仮ホーム用の土止め杭(H鋼、6m、約600kg)をくい抜機(つり上げ荷重20トンのホイールクレーンにくい抜用のアタッチメントを装着したもの)により地切り前まで引き抜き、その後当該クレーンで引き抜いて撤去し、さらに埋め戻し、排水側溝を築造するものである。
 土止め杭の撤去作業の手順は、
[1] 土止め杭の頭部にあいた穴にシャックル(使用荷重2トンまでのもの)を取り付ける。
[2] くい抜機の補助フックとシャックルの間に玉掛け用ワイヤロープを取り付ける。
[3] フックを巻き上げて杭を引き抜く。
[4] くい抜機を旋回し、仮置場に移動する。
[5] 仮置場において杭の下端を地面に接地させ、くい抜機のブームを倒し仮置きをする。
 災害発生当日、くい抜作業を請け負った甲社は、くい抜機のオペレータ(作業者A)、玉掛け担当者(作業者B)および接地の際の杭の誘導等を行う作業者(作業者C)の計3名で作業を開始した。計80本の杭の引き抜きを行うため、杭5本ごとに地切り前までの引き抜き、引き抜きおよび仮置きを繰り返し行った。半分ほどの作業が経過した時点で、Bが翌日の打合せのため現場を離れたので、Bの代わりにCが[1]シャックルの取り付け、[2]玉掛け用ワイヤロープの取り付けを行うこととした。
 最初の1本目を引き抜き、作業者Cが杭を仮置き場に誘導した後、くい抜機のオペレータが杭の接地を確認し、かつ、作業者Cが退避したのを確認した上でくい抜機のブームを倒し、杭を寝かせようとしたところ、杭頂部に掛けてあったシャックルが外れて、退避していたCの方向へ杭が90度反転、転倒しCに杭が直撃し、杭の下敷きになった。
 なお、ワイヤロープの切断荷重は約9トンであり、災害発生後においても特段の損傷は認められなかった。
 また、Bは玉掛技能講習の修了者であったが、Cは取得していなかった。

原因

1 土止め杭の頂部に取り付けられたシャックルのボルトが十分にねじ込まれていなかったため、杭からシャックルが外れたこと。
2 玉掛技能講習を修了していない者に玉掛け作業を行わせたこと。
3 作業者Cの退避距離が不十分であったこと。

対策

1 玉掛け作業には玉掛技能講習を修了した者を就かせること。
2 合図の方法、退避の方法等を定める作業計画を作成するとともに、関係作業者に十分に周知すること。