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労働災害事例

エレベーターのカウンタウエイトと搬器に挟まれ窒息死

エレベーターのカウンタウエイトと搬器に挟まれ窒息死
業種 機械器具設置工事業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) エレベータ、リフト
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
建設業のみ 工事の種類 その他の建設工事
災害の種類 その他のクレーン等(クレーン、揚重装置等を除く)
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.753

発生状況

災害発生当日、被災者Aは、作業責任者Bとともに朝礼、作業の段取り等を終え、作業に取りかかった。被災者Aは当該現場に従事して約2カ月程度が経過しており、エレベーターの設置工事については、既に、ガイドレールの取付け、機械室電動機等の取付け並びに昇降路内の搬器のつり下げ等が終了しており、当日予定されていた作業はエレベーター回りの配線の取付け並びに搬器部材の取付け作業であった。しかし、作業責任者Bが急用で早退したため、予定を変更し、被災者Aが1人でレールブラケットの清掃・塗装作業を行うこととなり、昼の休憩後午後から当該作業に取りかかった。
 その後、同じ現場で作業をしている作業員Cが、工具を借りるために、エレベーターのところまで来たところ、3階位置で停止していた搬器内で被災者Aがうつぶせに倒れているのを発見した。発見されたとき、被災者Aはカウンタウエイトの枠と搬器の端との間に挟まれた状態であり、ヘルメットおよび作業服を着用しており、また、安全靴をはいていた。
 災害発生現場の様子から推察すると、被災者Aは、1人で作業を行うに際して、搬器を作業床とし、仮設のポータブルスイッチを用いて搬器を移動させながら作業を進めていた。数カ所のレールブラケットの清掃を終え、ポータブルスイッチを操作して搬器を上昇させたところ、上方から下降してきたカウンタウエイトと搬器との間に挟まれ、被災したものと思われる。なお、エレベーター設置工事中につき、搬器の壁は取り付けられていなかった。

原因

[1] エレベーター昇降路内の作業であるにもかかわらず、被災者が開口部から身体の一部を出したまま搬器を移動させたこと。
[2] 当日の作業に変更があったにもかかわらず、作業打合せ等を行わずに作業に取りかかったこと。
[3] 現場に従事して2カ月という経験の浅い被災者を単独で作業させたこと。
[4] エレベーター工事が専門工事であるため、安全管理が現場責任者まかせとなっており、元方をはじめとする現場の安全管理体制が十分に機能していなかったこと。

対策

[1] エレベーター昇降路内での作業において搬器を移動させる際には、身体を開口部から出さない等の安全作業標準を確立し、その徹底を図ること。
[2] 作業に取りかかる際は必ず作業打合せ等を行い、当該作業の手順、危険性等を周知すること。
[3] 経験の浅い作業者に対しては、エレベーター工事に係る安全衛生教育を行うこと。また、単独で作業をさせないこと。
[4] 元方をはじめとする現場における安全管理体制を整備すること。