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労働災害事例

帯のこ盤の調整中、歯に巻き込まれ死亡

帯のこ盤の調整中、歯に巻き込まれ死亡
業種 製材業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 帯のこ盤
災害の種類(事故の型) 切れ、こすれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.711

発生状況

本災害は、自動送材車式帯のこ盤(のこ車の直径1,100mm)で、杉の原木材(直径300mm、長さ400mm)の挽材作業で発生した。帯のこの駆動は、内燃機関方式の古い方式のものであった。
 被災者Aは54歳、経験年数約15年の帯のこ盤のハンドルマンで、作業は、動力伝動用平ベルトを遊車から力車へ、ベルト寄せのレバーを操作して引き寄せることによって帯のこの回転を上げる(780rpm)ものであった。送材車によって原木材が送られてきて、これを切断して背板に製材する際に帯のこの回転数を上げるもので、ベルトシフトの所要時間は約3分間であった。
 本災害は、午後の休憩後、最初の作業にかかったときに発生した。同僚の送材作業担当(送材車に原木材をのせ、送材車を帯のこ盤の方向へ移動させる)のBが、送材作業に取り掛かったところ、帯のこ盤のほうで「アッ」というAの叫び声がしたので、その方向を見ると、Aが帯のこの歯に巻き込まれていた、ほかの者もかけつけたが、死亡したものである。

原因

[1] Aは当該作業には慣れていたが、日頃から血圧が高く、体調がよくなかった。
[2] 作業を行っていた箇所の床面が松材でできており、のこ屑がふりかかり、油類もしみ込んだ状態であった。
[3] Aの服装は、いわゆるジョギングズボン、シャツで、履き物は擦り減ったシューズであった。
 帯のこ盤等は旧式なものの、作業主任者によってよく点検整備されていた。
 そこで、Aは、ベルトシフト作業中、何らかの理由で帯のこに近づき、滑ったか、あるいは体調に異常が生じバランスを崩して、帯のこに倒れ込んで被災したものと考えられた。

対策

[1] 帯のこ盤作業のような危険を伴うものの従事者は、健康診断の結果等に基づき、その適性を判断して作業につかせること。
[2] 危険な機械を取り扱う作業の床面は、滑りにくい素材で構成し、かつ整理、整頓の徹底を図ること。
[3] 服装、履き物等は、帯のこ盤作業に適した安全なものとすること。
[4] 作業標準を定め、帯のこ盤に近づくような事態が生じた場合は機械を完全に停止させてから行うように、安全作業の徹底を図らせること。