フレキシブルコンテナのはい山の荷崩れで荷の下敷きになり重傷
| 業種 | 一般貨物自動車運送業 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業場規模 | 30〜99人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 荷姿の物 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | ||||||
| 発生要因(人) | ||||||
| 発生要因(管理) | ||||||
No.68
発生状況
(1) 被災者Aは、被災当日、倉庫内にはい付けしてある製品充填(ペレット状の製品1t充填)済みフレキシブルコンテナ(以下「フレコン」という。)のトラック積みのための倉出し作業に、同僚と5名(作業指揮者「はい作業主任資格者」1名、フォークリフト運転者2名、作業者2名「被災者Aと他1名B」)で従事していた。(2) 当該作業場のフレコンのはい付けは、3段積みで1〜2段目は背積みにし、3段目は荷崩れ防止対策としてパレット荷として、片側だけ目落としにして積み付けてあった。
(3) 被災者Aの作業内容は、フォークリフトのフォークにフレコンのつりロープを掛ける作業であった。
(4) 作業は順調に進捗し午後3時の休憩後、そのぞれの持ち場に就いた。
作業指揮者は、積付け作業(作業指揮者の監督範囲であった)の状況確認が必要となったため、被災者A及び作業者Bに作業内容を説明して、はい崩し作業現場から40m離れた積付け作業現場に直行した。
(5) 休憩後の作業開始時におけるはいの状態は、図−1のとおりであった。
まず、図−1に示す右側1段目のフレコン2個を搬出(フォークリフト1台で1個のフレコンを運搬)した。フォークリフトが折り返して来るまでの作業として、同僚Bは、次に搬出する3段目のフレコンに対する諸準備のため、図−2に示す方向からはいに登るためのはしごを掛けようとしていた。被災者Aは、さらにその後に搬出する1段目フレコンのつりロープを当該フレコンの上で点検しながら整えていた。
(6) 同僚Bがはしごを立て掛けようと、はい山に近づいたところ、はい割れが起こり、荷崩れし始めているのに気付き、「危ない」と被災者Aに危険を知らせた。
被災者Aは、フレコン上から飛び下り退避しようとしたが、フレコンの高さが1.2mあり、着地の瞬間バランスを崩して倒れた。そこへ荷崩れしたフレコンがバウンドしてきて被災者Aに倒れかかり、骨折による休業3ヵ月の労働災害となった。
原因
| (1) はい作業主任者は、災害発生時に、はい崩し作業現場から40m離れた場所にいたため、作業を直接指揮できなかった。 (2) フレコンのはい積み方法が不適切であった。 | |
| [1] ポータブルラック等の適切な用具を使用せずに3段積みしてあった。 [2] 2段目が目落とし積みになっていなかった。 [3] 不安定な背積みの上に、3段目をパレット積みにしてあったのは、荷崩れ防止対策として不十分であった。 | |
| (3) 当初のはい積みが危険な状態にあった(災害後の調査で、はい山の中程数箇所に、荷割れの空洞があった。) (4) フォークリフトの能力(2.5tカウンタバランス形)が不足で、はい崩しを安全なひな段型にできなかった。 (5) 作業開始前(特に休憩後の作業再開時)のはいの荷崩れに対する安全確認が不十分であった。 (6) はい積み後の時間経過によるはい山の変形に対して、関係者の認識が薄かった。 | |
対策
(1) はい積み・はい崩し作業は、はい作業主任者直接指揮のもとで行うよう徹底する。(2) 3段積み以上の際には、ポータブルラック等の適切な用具を使用して行い、用具等を使用しないときは、2段積み以下とし、2段目は完全な目落とし積みとする。
(3) はい積みは、荷割れを起こさぬよう確実に行う。(作業基準の中に明示し、徹底する)
(4) はい崩しは、荷崩れの恐れの無いことを確認しながら行う。(特に作業開始前や休憩後の作業再開時の確認は、作業基準の中に明示し徹底する)。
(5) はい山の時間経過による変形等はいに関する基本的事柄を含め、関係者全員に再教育を行う。
厚生労働省