屋根の上で荷を運搬中、滑って墜落死した
業種 | その他の道路貨物運送業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 屋根、はり、もや、けた、合掌 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.64
発生状況
(1) 災害発生当日、災害発生会社甲社の作業者E(作業指揮者)、T(被災者)、Hの3名は2tトラックに引越荷を積付けて、午前11時頃荷主の引越先の木造二階建スレート葺の住宅に着いた。(2) 着くと、すぐ荷を卸しながら荷をそれぞれの部屋等へ運んだ。これらの作業は甲社側の前記3人と荷主側の荷主、同手伝人2人の計6人で人力で行った。
(3) ほとんどの荷は、大体1時間で終ったが、最後に大物の洋服タンス(幅1.8メートル、奥行60センチメートル、高さ2メートル)は、荷主の希望で二階へ上げることにした。
(4) この洋服タンスは、イ、ロ、ハ、ニの四つに分けることができる。この荷は、当初他の荷と同様屋内の階段から上げようとしたが、ロとハの部分が階段の天井に当るため、二階の屋外のベランダから入れることにした。
(5) 玄関から西向きにはしごを掛け、甲社のHが一階スレート屋根の上でロの部分の洋服タンスに掛けたロープを引っ張り、EとTの2人が地上とはしごを昇りながらこのタンスを押し上げて、玄関の上の屋根に上げた。
(6) 次いで、このタンスをベランダの方に運ぶため、タンスの西の部分を被災者Tが、東側の部分をEとHの2人が持ち、二階ベランダの南側まで、距離にして4、5メートル運んだ。しかしこのとき、保護帽をかぶり素足であった被災者の足が滑り、1.5メートル南側の、高さ3メートルの一階の屋根から地上に墜落した。
原因
(1) 一階の屋根の高さが3メートルあり、墜落するおそれがあったのに安全帯を使用していなかったこと。(2) 屋根の勾配は20度で、作業当時霧雨が降っており、素足で作業しておったが滑りやすかったこと。
(3) 事前に運び先の様子を十分把握しないまま荷を運び、安易に屋根の上での作業注文に応じたこと。
(4) 安全教育を十分にしていなかったこと。
対策
(1) 事前に得意先の作業条件等を十分に把握し、安全に作業が遂行できるような作業計画をたて、これに基づいて作業を行わせること。(2) 屋根の上等の墜落の危険のある場所で作業を行うときは、墜落を防止するための安全帯を使用すること。
(3) 作業指揮者に対する安全教育を徹底すること。
(4) 高所作業を含め作業者に安全教育を徹底すること。