手持ちグラインダの漏電で感電
| 業種 | 機械器具設置工事業 | |||||
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| 事業場規模 | − | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 研削盤、バフ盤 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | 機械器具設置工事 | ||||
| 災害の種類 | その他の電気 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | ||||||
| 発生要因(人) | ||||||
| 発生要因(管理) | ||||||
No.621
発生状況
本件災害は、ビルの1階に業務用の冷凍冷蔵庫を新設する工事において、コンクリートの床に配管用の穴を開ける作業を行っている際に発生した。設置する冷凍冷蔵庫のコンデンサは、屋上に設置することになっており、フロンガスを通す冷媒管を配管するためには、屋上から1階までの壁や床に穴を開ける必要があった。
災害発生当日は、1階の床のコア抜き工事を行うことになり、1階で現場責任者外2名の作業者がコアボーリングマシンの操作などを担当し、被災者及び同僚の二名が地下1階天井裏で、コアボーリングマシンで切断したコンクリート片を受け取り、地下1階の床へ下ろす作業などを担当した。被災者らが作業していた天井裏は、四方を壁や梁で囲まれ、さらに空調用ダクトや鋼管などが設けられていた。
1階の床にコアボーリングマシンで直径20cmの穴を開けたが、コンクリート床の最下部に鉄筋が2本入っており、これはコアボーリングマシンでは切断することができなかった。
そこで、2本の鉄筋を手持ちディスクグラインダで切断することになり、被災者が空調用ダクトの上に乗り切断作業を行った。被災者の乗った空調用ダクトは、幅88cm、高さ35cmで、この上面から1階床下までの高さは1mであった。また、ダクトは導電性の高い金属はくと金網で被覆されていた。
1本目の鉄筋を切断し、2本目の切断にかかったとき、被災者は感電し、ディスクグラインダをスイッチの入ったまま投げ出した。
この事態を見た同僚が現場責任者に知らせ、ゴム手袋を持って一緒に災害発生場所に戻ったところ、被災者はダクト横の天井板の上に仰向けに倒れ、死亡していた。
調査の結果、被災者ののどと背中の左側との間に電流が流れたことが判明した。また、使用していたディスクグラインダは、電動機が焼けて絶縁不良を起こしていた。
原因
[1] 本来はといしの側面を用いる研磨用ディスクグラインダの周面を用いて鉄筋を切断しようとしたため、ディスクグラインダの電動機に長時間大きな負荷がかかり、電動機に熱が生じて絶縁不良を起こしたこと。[2] 手持ちディスクグラインダの電源電路に感電防止用漏電しゃ断装置を接続していなかったこと。また、金属製外わくの接地もしていなかったこと。
対策
[1] 電動機を有する機械又は器具で、水などの導電性の高い液体によって湿潤している場所や鉄板上、鉄骨上など導電性の高い場所において使用する移動式あるいは手持ち式のものについては、漏電による感電の危険を防止するため、それらが接続される電路に感電防止用漏電しゃ断装置を接続すること。なお、この措置を講ずることが困難なときは、電動機械器具の金属製外わくを接地して使用すること。
[2] 電動機械器具は、電動機に過大な負荷がかからないよう、使用目的に合った使用方法をとること。
厚生労働省