木造家屋建築工事における墜落災害
| 業種 | 木造家屋建築工事業 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業場規模 | − | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 屋根、はり、もや、けた、合掌 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | 木造家屋建築工事 | ||||
| 災害の種類 | 梁、母屋から墜落 | |||||
| 被害者数 |
|
|||||
| 発生要因(物) | ||||||
| 発生要因(人) | ||||||
| 発生要因(管理) | ||||||
No.599
発生状況
本災害は、既存の建築物の間に、平屋の木造家屋を増築する工事において発生した。被災者は、作業の足場としていた梁から足を滑らせ、コンクリート基礎に墜落した。災害発生日の前日には、土台の据付け作業まで終了していた。
災害発生日の朝、被災者を含む3名の大工は、その日の作業内容について打合せを行った。その場において、まず移動式クレーンを使用して梁等を構築し、その後、垂木(屋根下地を支える桁等に架ける部材)と隅木(軒の隅にある垂木より太い部材)を取り付けることを確認した。
作業安全に関する内容については、作業時に安全に対して留意するよう簡単に促すにとどまり、作業に係る特段の安全配慮への留意事項、および作業現場におけるヘルメット着用といった具体的な安全対策について指示されなかった。そのため、人数分のヘルメットが現場に運び込まれていたにもかかわらず、被災者をはじめとし、だれ一人としてヘルメットを着用しなかった。
昼休み前までに、被災者らは、柱と梁等の設置作業を終えていた。昼休み後、梁等の上に垂木と隅木を設置する作業に取りかかった。隅木を取り付けるとき、隅木をのせる梁の溝を確実に整えておく必要があるため、被災者らは梁の上で梁の溝をノミによって整えた。隅木の取付けは1人で行える作業であったが、作業効率を上げるために2人1組で作業を行っていた。
被災者はまず、玄関部分の隅木の取付けを行っていたが、責任者の指示により厨房部分の隅木の取付けの作業にかかった。この箇所において作業中、被災者は梁から足を滑らせ足を踏み外した。被災者は足を踏み外した瞬間、梁に手をかけたが、身体が振れてしまったため、腕力だけでは身体を支えきることができず、梁の回りを半回転した後、コンクリートの床に墜落した。
原因
1 墜落により作業者に危険を及ぼす恐れのある箇所での作業であるにもかかわらず作業床の設置、安全帯の使用、防網の設置等危険を防止するための措置を講じていなかったこと。2 保護帽を着用していなかったこと。
対策
1 高さ2m以上の箇所で作業を行わせる場合には、足場先行工法等により安全な作業床を設置すること。2 作業床から墜落の恐れがある場合には、安全ネットを設置すること。
3 躯体の外側や安全ネットの設置ができない箇所においては、安全帯を使用できるよう親綱を張り、安全帯を着用させること。
4 高さ2m以上の箇所での作業を行う際、保護帽の着用を順守させ、その着用状況を監視すること。
厚生労働省