積込み作業中のフォークリフトが、トラックの荷台より転落、誘導者が死亡
業種 | 一般貨物自動車運送業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | フォークリフト | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.59
発生状況
(1) 被災者Aは、長距離便のトラック運転者である。(2) Aは、被災当日午後7時頃より、自分の運転する11tバン型トラックを自社集荷場のプラットホームの定位置にバックで縦付けし、作業指示にしたがい荷物の積込み作業を始めた。
(3) 積込み作業はほとんど手押車等を使用して人力作業で行ない、午後8時頃までに同車の荷台(長さ8.1m、幅2.5m、高さ2.4m)の前部より約3分の2まで積込み作業が終了した。
(4) その後、積み残りの荷の中に機械部品の入ったボックスパレット(幅80cm、奥行100cm、高さ85cm)重量約600kgがあったので同僚のフォークリフト運転者Bに、積込み作業を依頼した。
(5) Bは、2tカウンタバランスフォークリフトを運転してパレットをリフトし積込み作業を開始した。
このとき、トラックとプラットホームとの隙間(約5cm)の上には鉄板(110cm×65cm、厚さ0.5cm)が架け渡されており、フォークリフトは前進で荷台に進入して荷を卸し、バックでプラットホームへ戻ることとしていた。
(6) Bは、荷台上でパレットを卸そうとしたところ、すでに積込んであった荷物と接触するおそれがあり運転席から確認しづらい状態であったのでAに誘導を依頼した。
(このとき、フォークリフトの位置は前輪をトラックの荷台上に後輪はプラットホームとの隙間に架けわたした鉄板上にあった。フォークは床面より10cmの位置にあった。)
(7) プラットホーム上で待機していたAは、同パレット上にかがみ込んで乗り上がりBを誘導した。
Bは、Aの合図によりパレットを卸し、バックしてフォークを抜き取ろうとした時、トラックが前方に動きだし、ホームとトラックとの間隔が広がり、鉄板が外れ落ち、フォークリフトの後輪がホームから外れて前部を浮き上がらせた状態で後部から床面に転落した。
(8) このときフォークに差し込まれていたパレットは浮き上がり、パレット上に乗っていたAは、トラック荷台天井と同パレットの間にはさまれはねとばされた。
フォークリフトは後部から転落したため転倒はまぬかれ、同パレットは荷台後部に転がり落ちた。
(なお、フォークリフト運転者Bは、無傷であった。)
原因
(1) 停車中のトラックが動いたこと。 | |
イ. エンジンは停止状態でサイドブレーキはかけられていたがギアチェンジレバーの位置はニュートラルであり、同トラックのタイヤに輪止めがしてなかった。 ロ. サイドブレーキの引きが甘く、フォークリフトが荷台上で振動をあたえたことにより動いたものと推定される。 | |
(2) 誘導者がリフトされた荷の上に乗って誘導していた。 |
対策
(1) トラックを停車させて、荷の積卸し作業を行なう場合は停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかけ、かつ、タイヤの輪止めを使用すること。(なお、チェンジレバーをバックに入れることも考えられる。)
(2) フォークリフトの乗車席以外の個所に搭乗させないこと。
(3) 積卸し作業指揮者を定め、その職務事項を確実に行うよう教育を徹底すること。