平型といしが破裂
業種 | その他の金属製品製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 研削盤、バフ盤 | |||||
災害の種類(事故の型) | 破裂 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.580
発生状況
本災害は、被災者がグラインダを用いて研削作業を行っているときに、研削といしが破裂してしまい発生したものである。被災者Aは、入社前に鉄工所等を経営していたことからグラインダの操作方法、といしの装着方法を独学で身に付けていたために、労働安全衛生法に基づく特別教育を受けさせてはいなかった。
災害発生当日、Aは空気圧力を動力として利用するアングルグラインダに平型といしを装着し、溶射作業を行ったプラスチック混練用シャフトの仕上研磨作業を行っていた。
シャフトには羽が9枚ついており、そのうちの1枚を研磨しようとしたところ、図に示す平型といしの側面(使用してはならない面)を使用したことがきっかけとなりといしが破裂してしまった。
破裂した平型といしを調べてみたところ内部に亀裂があるのが見つかった。このことから、といしが正しく装着されていなかったためにといし内部に応力がかかっていた可能性がある。
また、使用していた平型といしの最高使用周速度は2,035m/minであり、災害発生時のグラインダーの使用周速度は、コンプレッサーの設定圧力から2,331m/minであったと推測され、回転が速すぎたためにといしに大きな応力がかかっていたことも考えられる。
そのうえ、今回使用していたグラインダーの使用可能なといしの最大直径は100mmであるにもかかわらず、破裂した平型といしの直径は135mmであった。
これは、事業場が作業能率を上げるために行っていたものであるが、これに併せてといしを固定するフランジと覆いを特注して使用していた。
以上のとおり、といしには破裂する前からいくつかの負荷が加わっており、そこに平型といしの側面を使って研削するといったきっかけが与えられたために破裂してしまったものと推測される。
また、メーカーはグラインダーの出荷時に、最大直径100mmまで対応できるフランジと覆いを付けていたのだが、事業所からの希望により直径135mmの平型といしに対応できるフランジと覆いを製造していた。
ところが、このフランジと覆いの使用材料の強度が適切なものではない(研削盤等構造規格を満たしてはいなかった)ために、本来、といしが破裂した場合に作業者を保護するためについている覆いが、本件では役に立つことなくAが被災してしまった。
原因
1 平型といしの側面を使用して研削したこと。2 といしの最高使用周速度を超えて使用したこと。
3 グラインダーの寸法の大きさに適合していないといしを装着して使用していたこと。
4 作業者に研削といしの取替えまたは取替え時の試運転に関する特別教育を行うことなく作業に従事させていたこと。
5 フランジと覆いの使用材料について研削盤等構造規格を満たしていなかったこと。
対策
1 といしは正しい面を用いて研削すること。2 といしは最高使用周速度を超えないように使用すること。
3 グラインダの寸法の大きさに適合したといしを使用すること。
4 作業者には特別教育を行うこと。
5 フランジと覆いの使用材料は研削盤等構造規格を満たすものを使用すること。