旋回中にホイールクレーンが倒れる
業種 | その他の土木工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 上下水道工事 | ||||
災害の種類 | 移動式クレーン | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.572
発生状況
本災害は、下水道工事のため、作業構台を設置しようとしている時にホイールクレーン(つり上げ荷重45トン)が転倒したものである。本災害が発生したときは、発生現場の道路と河川を挟んで対岸の土手の間に作業構台を設置するために、河川土手に基礎杭を打設しその上に足場を設置していた。その作業の途中に杭打ちに使用した発電機、加振器を搬出するためのトラックが到着したため、ホイールクレーンを用いて、同クレーンの後方に仮置きしてあった発電機、加振機の積込みを行っていた。
この時の作業現場の状況は、幅員6mのアスファルト舗装の道路において、道端の1.2mを一般用の歩道として使用していたために、4.8mを作業場所として使っていた。このため、作業現場内に設置されていたホイールクレーンはアウトリガーの最大張出しができず、中間張出し幅の4mで作業を行っていた。
この時のクレーンの作業半径は8.5mで、クレーンの後方領域での定格荷重は約13.5トンとなるが、側方領域では約5.5トンと低下する。このような状態で、最初に発電機5.5トンをトラックに積み込んだが特に問題なく積み込むことができた。
続いて、加振機5.8トンとそれに付随するキャブタイヤケーブル等0.3トンの計6.1トンを積み込むために加振機の上にキャブタイヤケーブル等を乗せ、ワイヤロープで玉掛けをした。
その後、巻き上げながら右旋回したところ、つり荷重が定格荷重を超えてしまい、さらにアクセルを強く踏み込んで旋回速度を速くしてしまったためにバランスを崩して転倒した。
原因
1 過負荷防止装置が故障していたこと。2 側方領域での定格荷重を超えた荷をつったこと。
3 旋回速度が速かったために遠心力により荷が振れてしまいバランスを崩したこと。
対策
1 作業開始前に過負荷防止装置の作動について点検を行うこと。異常があった場合には決して作業を行わず、必ず修理をしてから使用すること。
2 つり荷の重さ、必要とされる作業半径に応じた移動式クレーンを選ぶこと。
その際には、アウトリガー張出しのために必要とされる作業場所の広さについても検討を行い、作業計画をたて、移動式クレーンを選定する必要がある。
3 作業を安全に行うために、運転操作が安定に及ぼす影響、作業前点検の実施および過負荷防止装置の使用等、関係作業者に対し移動式クレーンの運転操作、性能等についての教育を実施すること。