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労働災害事例

フォークリフトが転倒し、運転者が下敷きとなり死亡

フォークリフトが転倒し、運転者が下敷きとなり死亡
業種 その他の土石製品製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) フォークリフト
災害の種類(事故の型) 転倒
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.540

発生状況

本災害は、フォークリフトの片側のフォークに荷をつり下げ、段差、傾斜のある路面を走行しようとしたところ車体が傾いたため、ハンドルを切りつつ停止させたところ、傾斜に沿って後退、転倒し、運転者が下敷きとなったものである。
 災害が発生した事業場では、鉱石を原料に、耐火吹付材料を製造しているが、原料鉱石を溶融する溶鉱炉の排ガスに含まれている灰や砂が3階の床や溶鉱炉上にたい積するため、週末の金曜日に清掃を行っていた。
 清掃は、ほうきで集めた灰や砂をワイヤーロープ2本が取り付けられた鋼製の直方体の箱に入れ、ホイストで1階に降ろし、フォークリフトで、屋外の廃棄物置場に運搬することにより行われていた。
 被災者は、災害発生当日の午後から清掃を開始し、午後4時ごろ、フォークリフト(最大積載荷重1.95トン)の右側フォークに灰や砂を入れた鋼製箱(重量115kg)をつり下げて、廃棄物置場に運搬しようとしたが、通路上に10トンダンプトラックが停車していたため、フォークリフトをその右側に迂回させた。その場所は、溶鉱炉からの溶融物を冷却するための槽として使われることのある場所で、進行方向右側に約8度傾斜しており、傾斜が深くなっている右側車輪通過部分の路面と槽底面の段差は約20cmとなっていた。
 そのため、フォークリフトが右側に傾いた。そこで、被災者は、ハンドルを左に切りつつ、フォークリフトを停止させ、サイドブレーキをかけずに、降車したところ、フォークリフトは少し後退し、右側に転倒した。被災者は、フォークリフトを支えようとしたが、下敷きとなり死亡したものである。
 なお、被災者は、フォークリフトの運転について、短時間の訓練は受けていたが、フォークリフト運転技能講習は受講していなかった。

原因

[1] フォークリフト運転技能講習を修了していない者にフォークリフトの運転をさせたこと。
[2] フォークリフトを運転するにあたって、
 (イ) 1本のフォークに荷をつり下げたこと。
(ロ) 傾斜面に沿って、横向きに走行し、かつ方向変換しようとしたこと。
(ハ) フォークを上げた状態で停止し、ブレーキを確実にかけずに、運転位置を離れたこと。

対策

[1] フォークリフトは、フォークリフト運転技能講習修了者に運転させること。
[2] フォークリフトの運行経路を明確にし、運行経路以外の経路を運行させないこと。
[3] フォークリフトを停止させ、運転位置から離れる場合は、フォークを最低降下位置に置き、ブレーキを確実にかけること。
[4] フォークに荷をつる場合は、フォークにあったつり具を用いること。
[5] 急な斜面では、フォークリフトで横向きに走行したり、方向変換したりしないこと。