前方の視界が悪い状態でフォークリフト運転中、他の作業者と激突
業種 | 一般貨物自動車運送業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | フォークリフト | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.54
発生状況
(1) O社は、従業員60名を使用し、倉庫業及び自動車貨物運送業を営んでおり、3カ所の営業所を有している。(2) 被災者Nは、パートタイマーとして勤務し、入庫品の数量検査業務に従事していた。
(3) 災害発生時にフォークリフトを運転していたSは、約3年前からK営業所(流通倉庫団地内)で1階の荷受け及び積込作業責任者としてフォークリフトの運転業務に従事していた。
(4) O社K営業所は流通倉庫団地内のH棟、G棟を借用して貨物取扱業務を行っている。取扱う貨物の種類は、ナイロンフィルムや繊維等である。
(5) 災害発生当日Sは、10tトラックでH棟前に運搬されてきた。梱包されたロール巻状ナイロンフィルム(直径30.4cm、高さ58cm、1パレット9本梱包、重量約450kg)を、フォークリフトで卸しG棟前に運搬する仕事に従事していた。まず最初に一度にパレットを2段重ねでフォークリフトに取りG棟前に仮置きした。Sは再びH棟倉庫前のトラックからフォークリフトに、パレット2段重ねで荷を積載し、フォークを約30cm上げて、前進走行で荷の左前方を見ながらG棟倉庫方向へ走行していた。
(6) 一方、被災者Nは、H棟倉庫1階休憩室で同僚と待機していたが、4tトラックが到着したので、入庫検査を行うため、H棟倉庫2階事務所で入庫検査に必要な入庫伝票を受け取って、G棟倉庫へ向って歩行していたところ、G棟とH棟の間の屋外ヤード上で、Sの運転するフォークリフトの積荷の前部と激突、転倒したところをフォークリフトにひかれた。
(7) 災害発生時、降雨のため路面が濡れていたこと。又、フォークリフトの運転者は積荷のため、被災者の行動に気づかず、衝突のショックで急ブレーキをかけたが、急停止できなかったものである。
(8) 荷の積み卸しは、原則的に搬入する棟の前で行うが、当日は降雨のため、G棟、H棟のヤード側に張り出しているテントの下で作業を行うこととしたが、仮置荷等のため、G棟倉庫前ヤード上は駐車スペースがなく、H棟倉庫前で荷卸しした後、ヤードを横断して運搬を行っていた。
原因
(1) フォークリフト運転手は、パレット2段重ねで荷を積載し、視界がさえぎられていたにもかかわらず、後進走行せず、前進走行したこと。(2) ヤード上はフォークリフトの走行経路及び倉庫間の通路となっており、歩行者等に接触する危険があるにもかかわらず、接触防止措置を講じていなかったこと。
(3) フォークリフトの運行経路、作業方法等に関し、事前に作業計画を作成し、関係作業者に周知していなかったこと。
対策
(1) 著しく視界をさまたげるような荷を積載したときは、誘導者の誘導によって前進するか、後進をすること。(2) パレットを2段重ねで運搬すると荷くずれの危険があるので、1段で運搬すること。
(3) フォークリフトの運行経路等を定めた作業計画を作成し、関係作業者に周知すること。