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労働災害事例

ダイカストマシンの金型に挟まれ死亡

ダイカストマシンの金型に挟まれ死亡
業種 自動車・同付属品製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) プレス機械
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.538

発生状況

本災害は、ダイカストマシンの運転中に外国人作業者が頭を挟まれ死亡したものである。災害の発生したA工業は、ダイカストマシンを用いてアルミ製の自動車部品を製造している事業場である。
 また、被災者Sは、日本に入国した直後からA工業で働いており、被災時には約9カ月を経過していたが、日本語、英語はほとんど理解できない状況で、ダイカストマシンの清掃、製品のバリ取りなどの補助作業に従事していた。なお、ダイカストマシンの運転そのものの作業には従事しておらず、また、運転方法についても特に教育を受けたことはない。
 ダイカストマシンの運転は、通常「自動運転」で行われ、約40秒で1サイクルになっており、その一連の手順は次のようになっている。
[1] 溶融したアルミを、給湯炉からダイカストマシンへ供給する。
[2] ダイカストマシンにより、同マシンに組み込まれている金型(移動金型と固定金型で構成)に溶融アルミを射出し、成形を行う([1]、[2]を併せて約10秒)。
[3] 移動金型が動き、固定金型から離れることにより、射出された製品が取り出せる状態になる(約3秒)。
[4] 製品取出機により、射出成形された製品を、ダイカストマシンから取り出し、コンベアに移す(約7秒)。
[5] コンベアにより、製品を補助作業者の位置まで運搬する。また、並行して、金型を清掃するとともに次の成形の時に製品を金型からはずれやすくするため、スプレーにより離型剤と空気を金型に吹き付ける(約10秒)。
[6] 移動金型が再び動き、今度は固定金型と合わさることにより、射出成形できる状態となる(約3秒)。
 なお、[1]の前段階であるアルミ溶解炉から給湯炉への溶融アルミの移し替えの作業と[4]でコンベアに乗せられた後の製品のバリ取りの作業を人手で行う必要があるのを除いて、「自動運転」中に、人がダイカストマシンに直接触れる必要はない。
 災害発生当日の朝、作業責任者のTがダイカストマシンの点検・調整を行った後、被災者Sを加えた2人でダイカストマシンを「自動運転」にして、自動車のラジエーター部品の製造を行っていた。
 作業は、特にトラブルもなく進み、昼ごろになったため、交替で休憩をとることにし、まず被災者Sが休憩をとり、次に作業責任者Tが休憩に入った。そのため、この時間帯はこのダイカストマシンのところには一人しかいなかった。
 午後2時ごろ、他の機械を担当している作業者がダイカストマシンの側を通ったとき、ダイカストマシンの金型に挟まれている被災者Sを発見した。直ちに救出したが、即死の状態であった。作業責任者Tは、まだ休憩中であった。
 金型に挟まれた被災者Sが発見されたとき、ダイカストマシンは「自動運転」の状態のままであったが、このダイカストマシンは、「手動運転」や「停止」の状態から「自動運転」にするためには一定の作業手順が必要であることから、「停止」などの状態から急にスイッチが入ったのではなく、「自動運転」のまま被災者Sが何らかの理由により移動金型と固定金型の間に体を入れたところ、両金型の間に挟まれたのではないかとみられる。被災者の体に離型剤の付着がなかったことから、「自動運転」の[5]が終了した直後に体を乗り入れ、[6]の時に挟まれたとみられる。

原因

[1] ダイカストマシンの金型部分がカバーなどで覆われておらず、また、自動運転中に作業者が近寄れないような措置も講じられていなかったため、自動運転中に作業者が体を入れられる状態になっていたこと。
 なお、「手動運転」は2つのスイッチを両手で同時に押している間だけ機械が動くしくみであるため、機械の作動中に金型部分に操作者の体が入ることはない。
[2] 作業者に対し、ダイカストマシンの危険性や異常時の措置について十分な教育が行われていなかったこと。

対策

[1] ダイカストマシンの金型の側面に柵または囲いを取り付け、同マシンの運転中に、人が金型に近寄ることがないようにし、柵等に扉を設ける場合はインターロック機能を備えたものにすること。やむを得ず、柵等を取り外す場合には、これに替わる立入禁止措置を講ずること。
[2] 作業者に対し、雇入れ時の教育や作業変更時の教育を行う場合には、従事する作業の手順を教えるだけでなく、作業に関係する機械や原材料などの危険性・有害性について十分に教育を行う必要がある。特に、何らかの異常が発生した場合に、自ら処理してよいのか、責任者を呼んで処理してもらうべきかを含め、どのように対処すべきかを、よく教育しておく必要がある。
[3] 外国人を雇用する場合としては、日系人を雇用する場合、就学生のアルバイト、技能実習制度に基づくものなどがあるが、どのような場合であっても、外国人作業者に配慮した以下のような措置が必要である。
 [イ] 安全衛生教育の実施に当たって、外国人作業者がその内容を理解できる方法により行うこと。特に、機械設備、安全装置、保護具の使用方法などについては、確実に理解されるようにすること。
[ロ] 労働災害防止のための指示などを理解できるようにするため、必要な日本語および基本的な合図などを習得させるようにすること。
[ハ] 労働災害防止に関する標識、掲示などについて、図を用いたり、外国語で併記するなど外国人作業者がその内容を理解できる方法により行うこと。
[ニ] 健康診断を実施すること。また、その際、その目的・内容が理解できるよう説明するとともに、事後措置が必要なときは、その必要性・内容が理解できるようにすること。
[ホ] 健康指導、健康相談を行うこと。
 なお、外国人の雇用に当たっては、上記の安全衛生対策を含め、平成5年5月にとりまとめられた「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」に基づく措置が必要である。