フレキシブルコンテナのつりベルトが切れ、作業者が下敷きに
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 玉掛用具 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.532
発生状況
本災害は、浄水場内にあるろ過池の更生工事(ろ過材の洗浄・入れ替え)中に、移動式クレーンにつったアンスラサイトという活性炭入りのフレキシブルコンテナが、つりベルトの切断により下で作業していた作業者の上に落下し、その下敷きになり死亡したものである。災害発生当日の作業内容は、
[1] ろ過池に付着している泥やゴミを取り除くけずり作業
[2] けずり作業が終わったろ過池にアンスラサイトを入れる
というものであった。
また、当日の人員は、親会社の作業者1人、一次下請の作業者8人、二次下請の作業者(被災者)1人の計10人で、実際の作業分担は被災者を含めた4人がアンスラサイトの投入作業、他の4人がけずり作業であった。
作業は早朝より開始され、投入作業については4人の分担を決め、被災者Aと作業者Bがろ過池内に入りフレキシブルコンテナからアンスラサイトをスコップで投入し、Cがクレーンの運転、Dがフレキシブルコンテナの玉掛けおよび合図を行った。
フレキシブルコンテナは円筒形で、繊維製のつりベルト(引っ張り強さは約2.7トン)が2本ついており、アンスラサイトを入れた状態で通常重さは500kgから600kgである。
何回かフレキシブルコンテナからアンスラサイトをスコップで投入する作業を繰り返したところで、DがCに対してフレキシブルコンテナの降下を止めるよう合図をし、フレキシブルコンテナの降下が止まったところ、「ブチッ」という音がし、繊維ベルトが2本とも切断し落下した。
その時、Aはフレキシブルコンテナの下で作業をしていたため、フレキシブルコンテナの下敷きとなった。事故後フレキシブルコンテナの重さを量ったところ、730kgであった。また、繊維ベルトの切断箇所以外にも損傷が見られるところがあった。
親会社の作業者は、今回のアンスラサイトの投入作業の責任者であるが、作業開始前に一次下請のBに対して当日の作業内容と簡単な作業指示をした後事務室に戻っており、直接作業指揮は行っていなかった。
原因
[1] 荷の下に入り込むような方法で作業をさせたこと。[2] 損傷により、つりベルトの強さが低下していたこと。
[3] 作業を開始する前に、つりベルトを含めフレキシブルコンテナの点検を行わなかったこと。
対策
[1] クレーン作業を行う場合は、荷の下に入りこまない方法で行うこと。おな、フレキシブルコンテナからの荷の排出は、コンテナを十分に下げてから行い、それまではコンテナに近づかないこと。[2] フレキシブルコンテナ等の用具は、始業前に点検を行い、損傷状態を確認し、損傷があるものは使用させないこと。
[3] 作業を開始する前に、安全面からの十分な検討を行って作業方法を定め、これを周知徹底させること。