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労働災害事例

プレス作業中、金型に挟まれる

プレス作業中、金型に挟まれる
業種 自動車・同付属品製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) プレス機械
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.513

発生状況

この事業場は、プレス機械40台、NCルーター3台等を有し、自動車部品、事務机等を製造する工場で、従業員数は約200名である。
 この日、作業者AおよびBの2人は共同して、油圧プレス(圧力能力50トン)を使用して、乗用車のサンルーフの蓋となる部品の曲げおよびかしめの作業を行っていた。プレス作業の方法は、Aが材料(縦約730mm、横約400mm、厚さ2mmの鋼板)をプレス機械の下型にセットし、自らプレス機械を起動させ、プレス加工後、Bが製品を取り出すものであった。
 作業開始後、約2時間たったとき、Aが材料をセットし、プレス機械を起動させたところ、Aの左背後からBの「ギャー」という悲鳴が聞こえたたため、Aが振り返ると、Bが金型に挟まれていた。
 このプレス機械の起動装置は、両手操作用のスタンド型のもので、移動させて使用することができるものであり、プレス機械本体から約400mm離れた位置に置かれていた。また、プレス機械の行程切替えキースイッチは、「一行程」に入っていた。さらに、このプレス機械には、光線式安全装置が設置されており、その切替えスイッチは、「安全」(有効)および「注意」(無効)の2種類あった。しかし、そのキーは、キーホールに差し込まれたままの状態で、「注意」の位置にセットされており、安全装置は機能しない状況にあった。
 Bがプレス機械の危険限界内に身体の一部を入れたのは、Aがセットした材料を既にプレス加工されたものと錯覚して製品を取り出そうとしたか、またはAが下型にセットした材料の位置がずれていて、この位置を直そうとしたことが推定される。また、AがBの作業行動に気付かなかったのは、プレス機械を起動させたAの作業位置においては、Bの作業行動がAの視野に入らなかったことによると考えられる。
 なお、プレス作業の経験は、Aは約2カ月、Bは10日であった。

原因

[1] Aがプレス機械を起動させたとき、Bの身体の一部が危険限界に入っていたこと。
[2] 光線式安全装置の切替えスイッチの位置が、「注意」(無効)にセットされていたため、安全装置が作動しなかったこと。
[3] 安全装置が「注意」(無効)となっている状態において、プレス機械が起動しないようにするための危険防止の措置が講じられていなかったこと。
[4] プレス機械作業主任者が、作業開始前に、プレス機械および安全装置を点検し、安全装置が適正な使用状態にあることを確認しなかったこと。
[5] プレス機械を操作したAの位置からBの作業行動の状況を見ることが困難な状態にあったこと。
[6] AおよびBの両者間の作業の連絡(合図)が行われなかったこと。
[7] AおよびBが、プレス機械および安全装置の適正な取り扱いについて、ほとんど知識を有していなかったこと。

対策

[1] プレス機械の起動装置は、複数の作業者がそれぞれ操作できるように2台設置し、当該作業者全員が同時に操作したときのみ起動するようにして、プレス機械を起動させたとき、当該作業者ともに身体の一部が危険限界に入らないようにすること。
[2] プレス機械には、安全装置が「注意」(無効)の状態において、同機械が起動しないようにするインターロック機構を備えること、安全装置が無効状態にあることを作業者に知らせるための警報ベルやランプを備えること等の措置を講ずること。
[3] プレス機械は、その安全装置を「安全」(有効)の状態で使用すること。
[4] プレス機械作業主任者は、作業開始前にプレス機械および安全装置の点検を行うとともに、プレス機械および安全装置の切替えスイッチのキーを保管し、プレス機械等の管理を行うこと。
[5] プレス機械を起動する作業者の位置は、共同して作業を行う者の作業行動を見ることができる場所とすること。また、そのため、プレス機械の起動装置の配置位置は、プレス機械を操作する者がスライドの方向を見ることができる向きとすること。
[6] 共同してプレス作業を行う場合は、あらかじめ作業者間の連絡のための連絡(合図)の方法を定めておくこと。
[7] プレス作業者に対して、雇入れ時に、プレス機械の危険性および取り扱い方法、安全装置の性能および取扱い方法、プレス作業の手順、作業開始時の点検等についての安全教育を行い、危険防止のために必要な知識・技能を付与すること。