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県道改修工事が終了し、それに使用したタイヤローラー(機械重量約8トン)を機材置場に搬送するため、9トントラックにローラーを積み込む作業中に本災害が発生した。 作業は、まず、トラックのアウトリガーを伸ばしトラックの前部を持ち上げることにより荷台後部を低くする。次に、低くなった荷台後部と路面との間に道板を渡し、ローラーが自力で荷台に登れるようにする。 この状態で被災者はローラーを運転し、バックで道板を登り、荷台中央部まで登ったところで、エンジンを止め、ギヤをローに入れた。次にウインチのフックをローラー後部にかけ、ウインチを少し巻きワイヤロープを緊張状態にした。この時点でトラックの運転手がアウトリガーの操作を行いトラックを水平状態に戻した。 このとき、突然ローラーのエンジンが始動し、荷台上でローラーが後進し、被災者は荷台のプロテクターとローラー後部に挟まれ即死した。
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(1) タイヤローラーが動き出した(エンジンが突然始動した)原因としては次のように推定される。 | | [1] 被災者はローラーを運転し荷台中央部で止めた後、エンジンを止めギヤをローに入れたが、デコンプレバーを引かず(エンジンのシリンダ内の残圧を抜かず)次のウインチの操作に移った。 [2] ウインチのワイヤロープを緊張状態にし、トラックを水平状態に戻した後に、被災者はさらにウインチを巻いた。 [3] この結果、ローラーは前進ギヤ(ロー)に入っている状態で、後方に引っぱられることにより、エンジンが逆回転に始動する逆転現象が生じ、ローラーは後進した(この現象はディーゼルエンジン特有のもので、デコンプレバーを引きエンジンシリンダの圧縮を抜いていれば生じない)。 そのほかに次のような原因が考えられる。 | (2) ウインチの操作は地上で行うことが可能であるのに、挟まれる危険のある荷台上で行ったこと。 (3) この作業の作業方法が定められておらず、作業者の判断で行うことになっていたこと。 (4) また、被災者はローラーの特別教育を受けていないこと。 |
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(1) ウインチの操作は荷台上で行わず、地上で行うこと。 (2) 運転席から離れる場合は、エンジンの停止、逸走防止、措置の他、圧縮抜きも行うこと。(ディーゼルエンジンの構造により必要のない場合もある)。 (3) 作業標準を定め、関係作業者に周知徹底すること。 (4) 特別教育を受けた作業者以外の者にローラーを運転させないこと。
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