高所作業車により作業中、送電線に接触し感電
業種 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 高所作業車 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | その他の電気 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.447
発生状況
本件の災害は、鉄骨2階建て一部3階建ての工場の新築工事において、左官作業中に発生したものである。この新築工事は、A社が元請けで、そのうち左官工事一式をB社が請け負い、被災者Cと同僚Dの2人が2カ月ほど前から断続的に現場に入って作業をしていた。左官工事に使用していた高所作業車は、B社がリース会社から借りたもので、トラック積載形のブーム式(最大作業床地上高さは24m)で、当日は、地上高さ約14mまでの間で使用されていた。また、災害発生現場には75,000ボルトの特別高圧の送電線があり、建屋とその送電線との間隔は約13mで、地上から12.7m、15mおよび17.6mの高さに位置していた。
災害が発生した日は、午前中は塗装作業、午後から左官作業という予定であったが、当日は天気が良く、屋根の防水工事を優先させるために、朝から左官作業をすることになった。作業は、高さ14mのエレベーター室の屋上で、防水下地のモルタルを塗るもので、このモルタルを地上から建屋の外部足場の最上段に運ぶために、高所作業車が使用された。
この高所作業車による荷上げ作業は、バケツに入れられたモルタルを高所作業車の作業床上に載せ、同時にCとDの2人が乗り込み、ブームを起伏し伸長させた後、建屋側に旋回させて外部足場の最上段に着け、モルタルを屋上に上げるものであった。
災害は、このモルタル塗りを終え、エレベーター室部から、図に示す東側のひさし部へ場所を移動しようとして、ブームを旋回させた時に発生した。その状況は、バケツを作業床に載せ、CとDが乗り込み、Cの運転のもとに、作業床を送電線側(Cの背後方向)に旋回させ、120度ほど旋回したところで、地上から15mの位置にあった送電線にCが触れ、感電したものである。
原因
[1] 高所作業車の作業範囲に送電線があるにもかかわらず、作業床を送電線側に旋回させたこと。[2] 作業床上での操作が、危険区域を背にするような方向となったため、安全確認ができなかったこと。
対策
[1] 高所作業車で作業を行う場合には、あらかじめ、地形、障害物等の状況に応じた作業範囲、操作方法などについて作業計画を作成し、それに基づき行うこと。特に、危険区域がある場合には、上昇時に通った作業範囲をはずれた移動は危険であり、作業床を上昇させた手順を逆に追って旋回、降下などを行うこと。
[2] 高所作業車の作業範囲内に送電線等の危険区域がある場合には、監視人を置き、その者の指示のもとに操作すること。