鋼材をつり上げ中、玉掛ワイヤロープが切断し、荷を支えていた作業者が死亡
| 業種 | その他の金属製品製造業 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業場規模 | 5〜15人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 玉掛用具 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | ||||||
| 発生要因(人) | ||||||
| 発生要因(管理) | ||||||
No.439
発生状況
災害が発生した事業場は、従業員数13名で、成型機械の部品を製造するため、鋼材の機械加工、溶接・溶断等を主な作業とするものである。災害は、鋼材を運搬するときに発生した。
被災者は、作業場内に設置してある下記のクレーンにより鋼材(長さ6m、幅10cm、厚さ5cm)の10本の束(重さ2.5トン)を移動するため、玉掛ワイヤロープ(直径9mm、長さ3m、構成6×24)を目通し1本づりにて玉掛けし、ペンダントスイッチを操作して1mほどの高さにつり上げた。
(クレーンの概要:1.型式 門型クレーン、2.能力2.8トン、3.操作方式 床上操作(ペンダントスイッチ)方式)
つり上げた鋼材の束が一方に傾いたため、被災者はその移動が困難と判断した。そこで、同僚に運搬の手伝いを依頼し、被災者は鋼材の高くなっている方を押さえ、同僚に荷の移動のためペンダントスイッチを操作させた。
そのとき、玉掛ワイヤロープが中央部付近で切断し、押さえていた被災者に荷が落下、死亡した。
原因
[1] 使用した玉掛ワイヤロープの公称径は10mmであり、その切断荷重が4.6トンで、つり荷に対して、安全係数6をはるかに下回っていたこと。[2] 玉掛ワイヤロープの廃棄基準は各作業者の判断に任せられていたこと。
[3] 玉掛け者およびクレーン運転者に対し、それぞれ技能講習、特別教育が実施されていなかったこと。
[4] 長尺の荷に対し、1本づりの方法をとり荷が傾いて、その結果荷を押さえることとなったこと。
対策
[1] つり上げ荷重が1トン以上の能力のクレーンの玉掛けの業務には、玉掛技能講習を修了した者を、またつり上げ荷重が5トン未満のクレーンの運転の業務には、クレーン運転特別教育を実施した者をそれぞれ就かせること。[2] 玉掛ワイヤロープの使用にあたっては、法定の安全係数以上のものを使用させる等使用(または廃棄)基準を事業場内で徹底すること。
[3] 長尺の荷に対し、一本づりの方法を避ける等荷に対し確実な玉掛方法を行うこと。
[4] 玉掛ワイヤロープの点検、作業者の荷の取り扱い等が適切に行われているかを管理する責任者を設ける等安全管理体制の確立を行うこと。
厚生労働省