フォークリフトのマストから転落
業種 | その他の卸売業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | フォークリフト | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.409
発生状況
災害が発生したのは、A食品(株)の営業所に設けられている商品倉庫においてであった。同営業所は、所長以下、総務担当部門と業務担当部門があり、倉庫における作業は総務担当部門に属し、作業者は2名で、フォークリフトが2台配置されていた。主な作業は、
[1] 運送会社から商品が入荷した時の荷役作業
[2] 入荷した商品を倉庫内において積み上げる作業
[3] その他商品の鮮度管理作業
である。
この倉庫の一壁面は、屋外に開放になっており、災害発生前日の終業時に大量の降雨があったので、その際開放されている個所に積み上げられていた飲料水入りのプラスチックケース上に、防水のための養生シートを2枚掛けてあった。
災害発生当日、作業者Bは、通常の出勤時間よりも早く出勤し、トラックで当該飲料水を他所へ輸送するための準備作業等にかかった。
まず、倉庫入口個所の商品(プラスチックケース入り飲料水の3段積みで、高さは床面より3.5m、幅2m)に掛けられていた養生シートを取り除くべく、当該商品のはいの前までフォークリフトを運転してきた。次にフォークを床面より2.5mまで上昇させ、キースイッチはオンのままの状態で、マストをよじ昇り、フォークを足掛かりとして、シート上端左側を重しとして固定していたダンボール箱を取り除いた。同様にして、シート上端右側の重しを取り除くために、フォークリフトを移動させる必要が生じた。
そこで、作業者Bはいったん床面に降りることとし、マストを伝わって降り始めたところ、足を滑らし、マストとヘッドガードの間に転落した。その際に、足先がマスト傾斜用のレバーに当たったため、マストが後ろに傾き、被災者がマストとヘッドガードの間に狭まれ、死亡した。
原因
(1) 高さ約2.5mのケース入り飲料水のはい上の作業のため、フォークリフトのマストを昇降設備として使用したこと(2) 商品の防水のための、養生シートを取り除く作業の際、作業床としてフォークリフトのフォークを使用したこと
(3) フォークリフトの運転席から運転者が離れる際、キースイッチを切らなかったため、被災者が転落時に運転席のレバーに触れたことにより、マストが作動したこと
対策
(1) 高さが1.5mを超える箇所で作業を行うときは、フォークリフトのマストを使用することなく、安全に昇降するための設備等を設けること(2) 高さが2m以上の箇所で作業を行う場合には、足場を組む等により作業床を設けること。ただし、やむを得ずフォークリフトを使用する場合は、転倒のおそれがない場合で、パレット等の周囲に十分な高さの手すりもしくはわく等を設け、かつパレット等をフォークに固定すること、または作業者に命綱を使用させる等の措置を講ずること
(3) 運転席から離れるときは、エンジンを止め、かつブレーキを確実にかけさせる等逸送を防止すること。さらには、フォーク等の荷役装置を最低降下位置に置くことなど