クーラーの配線工事中に感電する
| 業種 | 電気通信工事業 | |||||
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| 事業場規模 | − | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 送配電線等 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | 電気通信工事 | ||||
| 災害の種類 | 電気工事作業 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | ||||||
| 発生要因(人) | ||||||
| 発生要因(管理) | ||||||
No.399
発生状況
本件災害は、工場の窓枠の下方拡張を行うため、窓枠の約20cm下に敷設されていたクーラーの電源用電線管を徹去し、これより約1m下に新たに電線管を敷設する工事において発生した。新設電線管が敷設された後、既設電線と新設電線との切替えを行うため、被災者が枠組み足場と加工機械の間に足をかけ、窓と窓との間の壁面に設けられた分岐箱内部の既設電線を、活線(200V)のまま電気工事用ペンチで切断しようとした時感電したものである。被災時の被災者の服装等は、ゴム底の安全靴、長袖の作業服を着用し、手は素手のままであった。
使用していたペンチは握りの部分がビニールで絶縁被覆された絶縁柄ペンチであったが、被覆が損傷し、1〜4mmの穴が4個所認められた。さらに災害発生当日は、気温が27℃でかなり蒸し暑く、朝からの作業で被災者の作業服は発汗によりかなり湿った状態であった。なお被災者は、在職1年で電気工事士の資格は有していなかった。
原因
(1) 停電をしないで活線のまま作業をしたこと。(2) 活線作業に伴う危険性について事前に検討を行わなかったこと。また、作業手順を定めないまま作業に着手したこと。
(3) 活線作業を行うにもかかわらず、絶縁用保護具を使用せずに素手のまま作業をしたこと。
(4) ペンチの絶縁被覆が損傷していたこと。また、その絶縁性能について点検がなされていなかったこと。
(5) 作業服が汗で湿り、接触抵抗が低下していたこと。
(6) 作業者に感電の危険性について十分理解させていなかったこと。
対策
(1) 電気工事は可能なかぎり停電して行うこと。この際できるだけ元スイッチを切ることにより、作業場所の周囲に充電部分が残らないようにし、必要な場合は電力会社側開閉器の操作を開閉器操作申込書により電力会社に依頼する。また、停電作業中に通電されないよう、停電に用いたスイッチに通電禁止の表示等の措置を講ずる。(2) 活線作業を行う際は、あらかじめ作業に伴う危険性を検討のうえ作業手順を作成し、その順守を図ること。また、万一に備え、単独作業を避けるとともに、作業者全員に救急処置の訓練をしておく。
(3) 活線作業においては、たとえ活線作業用器具を用いる場合であっても、電気用ゴム手袋等の絶縁用保護具を併用すること。また、接近して感電する恐れのある充電部分には絶縁シート等を装着する。
(4) 活線作業用器具、絶縁用保護具等は定期的に絶縁性能を検査するとともに、必ず使用前点険を行うこと。
(5) 発汗、雨などにより身体が濡れると身体や衣服の抵抗が著しく低下するため、夏季においては低圧電気による感電死亡災害が多発する傾向にあるので、普段にも増して絶縁用保護具の着用を徹底させること。また、このような電気の特性および危険性ならびに安全対策について、作業者に十分教育を行うこと。
厚生労働省