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労働災害事例

タンクローリー(バラセメント積込)のタンクマンホールの蓋が内圧により外れ、運転手が吹き飛ばされて死亡

タンクローリー(バラセメント積込)のタンクマンホールの蓋が内圧により外れ、運転手が吹き飛ばされて死亡
業種 特定貨物自動車運送業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の動力運搬機
災害の種類(事故の型) 激突され
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.28

発生状況

(1) 被災者Aの所属する甲運送会社は、バラセメントを専門に運送している特定貨物自動車運送業である。
(2) 被災者Aは、災害発生当日午前8時から他の生コン会社へバラセメントを配達し、一旦午前10時帰社してから同じ車両で再びバラセメントを積んで乙生コン会社の災害発生現場に午後0時50分頃到着した(被災者の1人乗務)。
(3) 被災者Aは、乙生コン会社のセメントサイロ付近に車を停め、タンクローリー車のホースを連結し、バラセメント圧送の準備のためタンクローリー車搭載のコンプレッサーによりタンク内の空気圧を上げていた。
(4) その後の状況については目撃者がいないため不明であるが、現場より約25m離れた事務所にいた者の話によれば、ドカーンという破裂音がしてタンク上から大量のセメント粉が舞い上がるのが見えたということであった。
(5) 被災者Aは、タンクローリー車から約3.5m離れた地上に倒れており既に意識がなく、直ちに救急車で近くの病院に搬送されたが3日後死亡した。
(6) 当タンクローリー車は10トン積みの粉体専用運搬車で、搭載型コンプレッサーによりタンク内を1.9kg/cm2にまで圧縮空気で加圧し、その後弁を開いてタンク内のセメント粉を圧送する構造となっている。コンプレッサーは高速、低速の変速装置がついており、災害発生時には低速運転に切り換えられていた。
(7) 前記(4)のとおり災害発生時の目撃者がいないため詳細は不明であるが
○ 被災者Aが車より約3.5m離れた場所まで吹き飛ばされていたこと。
○ 災害発生時、前後2ヶ所あるタンクのマンホールの後部マンホールの蓋があいていたこと。
 等からみて、タンク上に上る必要性のある作業はマンホールの点検以外に考えられないことから、被災者Aはコンプレッサーを始動してタンク内の圧力を上げたが、蓋の閉め忘れか何らかの理由で、空気漏れに気付き、高さ約2.95mのタンク上に上ったものと推定される。
(8) マンホール蓋は「留め金」及び「安全ロック」でマンホールに固定される構造となっており、「留め金」3本は「円板」でネジ廻しの要領で押えられ、蓋にかかる最高1.9トンの内圧に耐えられる。災害発生後この蓋の蝶番は破損したが、「留め金」が破損していないことから、「留め金」を十分に締めていない状態で被災者はタンクの内圧を上げてこの付近に近づき安全ロックを誤って解除したため蓋の部分から破裂したものと思われる。
(9) このマンホール蓋には注意書が書かれており、また、タンクの前後2ヵ所にあるエアー抜きを使用すれば6〜7分でタンク内を減圧でき、その後蓋を締め直せば破裂の危険がないものである。
(10) 会社は各従業員に保護帽を支給しているが、被災者Aは災害発生時着用していなかった。

原因

(1) バラセメント積込作業終了後、マンホール蓋の締め方が不十分であり、エアー抜きを使用してタンク内を減圧する必要があったにもかかわらずこれを行わずにタンク上のマンホール付近に近づいたこと。
(2) 所定の安全作業標準の遵守を徹底していなかったこと。
(3) 保護帽を着用していなかったこと。

対策

(1) 従業員に対し安全作業標準の教育を徹底すること。
(2) 特にバラセメント荷役終了後、タンク内加圧を行う前にマンホール蓋の再点検を徹底させること。
 また、タンク内加圧後異常を発見してマンホール蓋の点検が必要な場合、エアー抜きを使用してタンク内減圧の実施方を徹底すること。
(3) タンク上に上る場合の保護帽の着用を徹底させること。