合板工場の剥板機修理中に、機械にはさまれる
| 業種 | 合板製造業 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業場規模 | 1〜4人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の木材加工用機械 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | ||||||
| 発生要因(人) | ||||||
| 発生要因(管理) | ||||||
No.203
発生状況
本災害は、合板製造の剥板工程に使用している剥板機(ベニヤレース)の修理中に、原木供給装置(チャージャー)と剥板機の間に被災者がはさまれ死亡したものである。被災者Aは、日頃より合板製造の剥板工程に従事しており、当日はBとともに剥板機に原木を供給する原木供給装置の操作を主に担当していた。
剥板工程とは、あらかじめ表皮を剥ぎ所定の長さに玉切りした原木を、原木供給装置により剥板機に送り込み、大根をかつらむきにするように原木を薄く剥ぎ、単板を作る工程である。なお、これら単板を所定の長さに切断した後、重ねて接着するとベニヤ板になる。
本剥板機には、剥板用の大きな刃が取り付けられているが、すり減るので約2時間ごと刃を交換する必要があるほか、原木に刺さっている釘などにより刃が損傷した場合には、随時、研磨又は交換を行うことになっていた。原木に刺さっている釘などは、原木を剥板機にかける前に取り除くが、除去しきれないこともあり、日に何度か刃が損傷する。当日午後、刃が損傷したため、剥板機を担当しているCは被災者A及びBに刃の研磨を行うことを連絡、原木供給装置の停止を依頼し、自らは、剥板機の停止を行ったのち刃の研磨作業に入った。その後、被災者Aも研磨作業の状況を見にきた。
ところで、剥板機及び原木供給装置それぞれの操作盤には、全停止キーが差し込んであり、これらのいずれかを抜くことによって機械装置全体に全停止をかけ、それから剥板機のある区域(剥板機区域)に立ち入ることになっていたが、A、Cともにキーを抜いていなかった。また、剥板機区域立ち入り中は立ち入り口の扉を開けたままにして扉のリミットスイッチを働かせておくことになっていたが、被災者Aが立ち入った際に閉めてしまっていた。こうした状態の中、研磨作業が行われていたが、一時他の作業をしていたBが原木供給装置の操作盤のところにもどってきたところ、全停止キーが差し込まれた状態になっており、リミットスイッチも働かなかったので、既に研磨作業が終了したものと思い、原木供給装置のスイッチを入れたところ、被災者Aが原木と剥板機にはさまれたものである。なお、Cは、はさまれようとする直前に気が付き、とっさに避難したため無事であった。
原因
一、 剥板機の刃にトラブルが発生した際に、被災者らは、原木供給装置及び剥板機のスイッチを切り、剥板機の区域内に立ち入ったが、全停止キーを抜いておかなかったこと。また、立ち入り口の扉を閉めたためリミットスイッチが働かず、他の作業者が誤って装置を動かしてしまったこと。二、 剥板機区域に立ち入る際には、全停止キーを抜くこと、扉を開けておくことなどの規定があったにもかかわらず、守られていない状態にあったこと。
三、 各機械及びその操作盤の配置の関係から、原木供給装置の操作盤の位置からは、剥板機区域を見通すことが出来ず、被災者たちが立ち入り中であったにもかかわらず、それに気付かなかったこと。
四、 複数の者が、連携をもって行う一連の作業であるにもかかわらず、相互の作業状況について連絡が充分でなかったこと。
対策
一、 剥板機及び原木供給装置を全停止状態にしなければ、剥板機区域の中に立ち入れないような機構にすること。具体的には、操作盤に差し込まれている全停止キーを抜くことにより剥板機及び原木供給装置を全停止状態にし、かつ、そのキーを使用しなければ剥板機区域への立ち入り口の扉を開けられないようにする方法などがある。
二、 鏡、テレビモニターなどを用いて、各操作盤の位置から剥板機区域にいる作業者の状況を容易に確認できるようにすること。その際、死角を生じないよう配置に注意すること。
三、 剥板機区域に作業者がいる場合には、扉を開けたままにすることにより剥板機などのスイッチが入らないようにし、かつ、修理中の表示をするなどの措置を講ずるとともに、これらの措置の徹底を図るための安全教育を行うこと。
四、 以上の措置のほか、修理・点検時における安全作業手順の見直し・整備、作業者への周知・徹底、順守状況の確認など安全管理体制を確立すること。
厚生労働省