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労働災害事例

制御盤の端子にワニ口クリップを接続しようとした際に感電

制御盤の端子にワニ口クリップを接続しようとした際に感電
業種 重電機製造業
事業場規模 1〜4人
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の電気設備
災害の種類(事故の型) 感電
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) その他
発生要因(人) 省略行為
発生要因(管理) その他

No.1065

発生状況

 この災害は、各種制御盤および発変電所などで使用される配電盤、変電盤を製造する工場内の制御盤出荷前検査工程の検査室で発生したものである。
 この検査工程では、構内下請の作業員と親企業の担当者とが混在して作業を行っており、被災者が所属していた企業はこの工場の出荷前検査部門を請け負う構内下請の二次下請であった。なお、親企業の検査部門の発注担当は、品質保証担当部門である。
 災害が発生した日、被災者は午前8時30分から、親企業の担当責任者である検査技術員の指示の下に、この日の午後に予定されていた、制御盤3台の発注者立会検査の準備作業を始めた。
 午前中に、周波数50Hzの三相交流400Vの電源を分電盤から、開閉器付きのターミナルボックスで中継してワニ口クリップ付き電源ケーブルを制御盤へ接続するなどの準備作業を終えた。
 午後になって立会検査が終了し、ターミナルボックスのスイッチを閉のまま、分電盤の開閉器を遮断した。そして、制御盤の電源入力端子から電源ケーブルのワニ口クリップを取り外し、耐電圧試験を行った。その後再度、制御盤の電源入力端子に電源ケーブルのワニ口クリップを挟み込もうとしたところ、他のグループが分電盤の開閉器を投入していたため、ワニ口クリップの充電部分に接触し感電した。

原因

 この災害は、制御盤の検査工程で、検査のために必要な電源回路の仮配線の作業を行うときに、使用していた通電状態にあったケーブルの端末に接続されていたワニ口クリップに接触して感電したものであるが、その原因としては次のようなことが考えられる。
1 立会検査終了時の電源遮断の際に、直接分電盤の開閉器を遮断したため、手元のターミナルボックスのスイッチSW1が閉の状態にあったこと。
2 他のグループがターミナルボックスのSW1の開閉状態を確認しないで、分電盤の開閉器を投入したこと。
3 被災者が、分電盤およびターミナルボックス開閉器の開閉の状況を確認しないで、配線作業に使用するケーブルが通電状態のまま、結線作業を開始したこと。
4 被災者のグループと、後から作業を始めたグループの両グループを指揮する検査担当責任者である検査技術員による両グループの作業に競合する電源回路の開閉器の開閉に関する調整が不十分であったこと。
5 ケーブルの接続がふくそうする検査室内における作業手順が、マニュアルとして定められていなかったこと。また、負荷側に複数のグループが混在して同一電源を使用する場合を想定した確認のための手順が明確にされていなかったこと。

対策

 この災害は、検査のために必要な電源回路にケーブルを接続する作業を行うときに、ケーブル端末のクリップに触れて感電したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策を講じることが必要である。
1 ワニ口クリップ
 クリップ部が絶縁覆いにより完全に覆われるものであること。
2 ターミナルボックス
 ターミナルボックスには、電源表示ランプを備えること。
3 分電盤開閉器に作業状態を表示
 作業中には、分電盤開閉器が誤操作されないように表示または施錠を行うこと。
4 電源の遮断
 電源を遮断するときは、その負荷側にある開閉器をすべて遮断すること。
5 作業手順の標準化
 作業を標準化し、その手順をマニュアル化すること。
6 教育・訓練の実施
 標準化された作業手順によって作業が履行されるように、教育・訓練を実施すること。
7 安全管理の充実
 常に、上位の管理者が安全確保の状況などの確認を確実に履行するように責任体制を明確化すること。また、構内協力業者の作業員と混在する作業に関する親企業および協力業者との役割分担を明確にしておくこと。