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ラーメン店の圧力釜でスープの仕込中、蓋をゆるめたときに蒸気が噴出し熱傷で死亡

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発生状況
 この災害は、ラーメン店の厨房で発生したものである。
 このラーメン店は、フランチャイズ契約で営業しているが、本部のスープを使用せずに自分の店で毎日スープを作っており、被災者は午前10時に出勤しスープの仕込みを開始した。
 スープの仕込みは次のような手順で行なわれていた。
(1)  圧力釜(内容積0.2m3、最高圧力0.9kgf/cm2)を洗う
(2)  釜に水を入れて沸騰させて、豚、鳥などのガラを入れてすすぎ湯を捨てる
(3)  新しい50℃程度の湯を釜に入れて蓋を閉めずに20〜30分煮て「あく」が出てきたら取る
(4)  火を止めて、にんじん、玉ねぎ、ショウガ等の野菜を入れ、釜にパッキンをはめて蓋を閉め、8箇所の留め具を専用の金属棒で締める
(5)  火をつけて強火で煮る
(6)  圧力釜が沸騰して蓋についている蒸気抜き管から蒸気が出てきたら、同管のコックを閉める
(7)  圧力釜についている圧力計の目盛が0.6kgf/cm2位になったところで火を弱め、目盛が0.7kgf/cm2くらいになるように火を調節して50分程度煮る
(8)  火を止めて30分間そのままにしておき、その後、蒸気抜き管のコックを開いて中の蒸気を抜く
(9)  その後は釜の下部にあるスープ取り出し口から必要に応じてスープをバケツ等に入れる。
 この手順で仕込みを進め、強火で煮込む工程になったときに、圧力釜で「ジュ」という音がして蓋と本体との間から蒸気が漏れているのを近くにいた被災者達が発見した。
 そこで、当日の責任者が、「火を止めて」と叫びながら自分で火を止め、被災者は蒸気抜き管のコックを開いて蒸気を抜いた。
 責任者は、被災者に釜の圧力が下がったならパッキンを取り替えるので待っているように指示し、自分は麺を茹でる作業を開始した。その直後、圧力釜のほうで悲鳴がしたので行ってみると、周辺に蒸気が立ち込め、被災者が床にうずくまっていた。
 その後、救急車で被災者を病院に移送したが、全身熱傷で15日後に死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 釜の中の圧力が下がっていないのに蓋を開けたこと
 被災者は、異常に気づいてから蓋に付いている蒸気抜き管のコックを開けて蒸気を抜いた。通常火を止めた直後の圧力釜の中の圧力は0.7kgf/cm2となっている。従ってコックを開けた直後に釜の蓋を開けようとして蓋を止めていた留め具のボルトを2本緩めたために、中の高温蒸気が隙間から噴出したものと考えられる。
2 圧力釜の取り扱い要領がなかったこと
 強火で加熱した圧力釜の中は、かなりの高温の蒸気が発生しているので蓋の取り扱い等には十分に注意する必要があったのに、その取り扱い要領が定められていなかった。
 なお、パッキンの交換は、原則としてメーカーに連絡して対応することになっていたが、実際には責任者等が予備のものを取り替えていた。
3 安全衛生教育を実施していなかったこと
 この店は、毎年12月31日と1月1日以外は無休で営業されている。勤務体系は早番が午前10時〜午後5時、遅番が午後5時〜閉店の午前3時の2交代制である。正社員は早番の店長と遅番の1名だけで、他は主婦あるいは学生パート(各番3名)であった。
 しかし、これらの勤務者に対して安全衛生教育は実施していなかった。
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 圧力釜の取り扱い要領を定めること
 ラーメンのスープを圧力釜で作製する作業は、その取り扱いを誤ると釜の中に閉じ込められている高温の蒸気が噴出してこの事例のような災害に発展することがある。従って圧力釜の取り扱い要領(操作手順)を定め、関係者に徹底する。
 また、パッキンの交換についてもメーカーに依頼するのか、一定の教育を受けた者を特定して行うのかを明確にし、関係者に徹底する。
2 従業員の安全衛生教育を実施すること
 ラーメン店においては、この災害のように圧力釜による危険のほか、ガスの漏洩等による危険、水気の多いところにおけるスイッチや配線の取り扱いに伴う感電危険等が少なくない。設備面の定期点検を確実に行うとともに、関係作業者に対して安全衛生の基本に関する教育を実施する。
 とくに、パート労働者を使用する場合には、「見よう見まね」で作業を行うことがないよう必ず教育を実施したうえで作業を行わせる。
3 安全衛生管理を実施すること
 ラーメン店等の食品関係の店では、顧客に対する衛生管理等を十分に行うことが必要であるが、従業員の安全衛生管理を行うことも重要である。とくに各番の責任者に対して安全衛生管理についての教育を実施する。
 なお、パートスタッフを使用するチェーン方式の店においては、本部の作製したスープを使用することとするなど危険度の高い圧力釜等を使用しない方法を採用する。
業種 一般飲食店
事業場規模 16〜29人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 圧力容器
災害の種類(事故の型) 高温・低温の物との接触
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 構成材料の欠陥
発生要因(人) 場面行動
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行
NO.100921
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