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労働災害事例

コーヒー缶製造工場でリフターの点検中リフターとガイドとの間に挟まれ死亡

コーヒー缶製造工場でリフターの点検中リフターとガイドとの間に挟まれ死亡
業種 その他の金属製品製造業
事業場規模 300〜999人
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の動力運搬機
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 防護・安全装置がない
発生要因(人) 場面行動
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

No.100909

発生状況

 この災害は、コーヒー缶等の飲料用缶製造中に発生した。
 この会社では、ロール鋼板等から飲料用缶を24時間操業で月間10,000ケース(1ケース30缶)を製造している。
 製造ラインは、ベルトコンベア、シートリフト、シートキャレッジパレタイザーで構成されている。被災者は、缶の検査、スプレーと称する内面補正、パレタイザー(空き缶積み込み)など一連のラインのオペレーターである。
 被災者は、当日、午前8時から翌日の午前8時までの勤務であった。午前7時50分からの朝礼で、同僚と二人で12ラインあるパレタイザーラインのシートキャレッジ(シートリフターに積み込まれたセパレートシート(1,120mm×1,440mm)をリフターにより持ち上げ、シートキャリッジにより1枚づつベルトコンベアに置いていく装置)等のボルトの緩み点検と締め付け作業を行うよう指示され、午前8時10分頃より作業に着手した。
 二人は、ラインを分割して担当することになり、それぞれが作業を続けていた。午前11時30分頃、被災者がNo10ラインのシートリフターとガイドとの間に腹部を挟まれているのを他の同僚が発見し、シートリフターを下げて救出したが被災者はすでに死亡していた。
 また、このときに、シートリフターには、高さ120mmのパレットとその上にセパレートシート約60枚(高さ210mm)が載せられており、このセパレートシートの上には被災者の作業靴が置かれていた。
 なお、シートキャレッジとは、吸盤によりセパレートシートを1枚づつ吸引してベルトコンベアに載せるものである。この装置はボルトやビスが一つの機械に約100個使用されていて、稼動中の振動により緩むので月1回程度ボルト等の点検と締め付け作業を行うことになっていた。

原因

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 上昇中のシートリフターに乗り込もうとしたこと
 シートリフターには、床から1,240mmの位置に上昇・下降ボタンがあり、このボタンを押すと上限又は下限までシートリフターが動き、停止する機構となっている。
 被災者は、シートリフターの上(正確にはその上に載せられているセパレートシートの上)でシートキャレッジに取り付けられているボルトやビスの点検と締め付け作業を行うため、上昇ボタンを押し、動き出したリフターに乗り込もうとして、リフターのガイドとリフターの間に挟まれたものと推定される。
2 非常停止装置が取り付けられていなかったこと
 リフターの上下運動範囲は1,410mmであるが、非常停止する装置は取り付けられていないため、上昇又は下降のボタンを押した後に上限(床から3,280mmの位置)または下限(床から1,870mmの位置)まで移動する。
 被災者は、動き出したリフター上のシートとガイドとの間(リフターが停止していた場合で約800mmの隙間)からリフターに乗り移ろうとしたものと推定される。
3 点検・補修作業の手順が定められていなかったこと
 シートキャレッジのボルト、ビス等の点検、締め付け作業は、毎月1回程度行われていた。しかしこの作業を安全に行うための手順は定められていなかったため、各作業者の判断で作業を行っていた。
 なお、通常の点検・締め付け作業は、ベルトコンベヤ側やシートリフターに取り付けられている垂直はしごを利用していたが、リフターに載っても作業を実施していた。
4 安全教育が実施されていなかったこと
 シートキャレッジのボルト、ビス等の点検、締め付け作業は危険を伴うものであった。しかし、関係作業者に安全な作業手順、安易なボタン操作の危険性等について安全教育を実施していなかった。

対策

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 搬器上に作業者を立入らせないこと
 点検作業はシートリフターの位置以外から行えるよう点検用開口部の設置などシートキャレッジ全体の構造を改善する。
 また、リフターのところには、立ち入り禁止の表示を行い関係者に徹底する。
2 シートリフターに非常停止装置等を取り付けること
 やむを得ずシートリフターへの立ち入りを行う作業が想定される場合には、リフターを確実に停止させる。また、リフターに非常停止装置を取り付けると共に防護覆いにインターロック装置を取り付ける。
3 点検清掃等非定常作業についても安全作業手順を定めること
 機械設備の点検・補修等の作業は一般に非定常作業といわれている。月1回程度の割合で行われる作業も定常作業と同等に、関係作業者等を参加させて安全な作業を行うための手順を作成し、十分な教育訓練を実施する。
 なお、危険が想定される点検の作業等は、原則として生産ライン・機械設備の電源を遮断して実施するよう生産計画の上でも考慮する。
4 安全教育を実施すること
 作業者に対しては、あらかじめ基本的な安全衛生教育を実施する。また点検等の作業に従事する者に対しても安全作業手順等に基づいた安全教育を実施する。
 また、職場の管理者は、教育内容の徹底を確認するため定期あるいは随時に職場を巡視し必要な指導・指示を行う。
 とくに、24時間体制で生産を行っている場合には、疲労の蓄積等による不安全行動も想定されるので、管理者は作業実態と作業者の体調を的確に把握する。