トラッククレーンで荷降ろし後に旋回レバーを無意識に操作し、クレーンが横転し、乗用車を直撃
| 業種 | 一般貨物自動車運送業 | |||||
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| 事業場規模 | 5〜15人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 転倒 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | ||||||
| 発生要因(人) | ||||||
| 発生要因(管理) | ||||||
No.100865
発生状況
| この事故は、トラッククレーンの運転者が無意識のまま旋回レバーを操作したことにより発生したものである。
この会社は、トラック15台およびトラッククレーン1台(つり上げ荷重20t)を使用して主に建築関係の部材を運搬している。 事故発生当日の午後1時30分頃、社長は、トラッククレーンで会社の駐車場に止めてあった10tトラックの荷台から鋼材用の架台2個を架台置場に降ろすことにした。 作業の要領は、トラックの荷台上での玉掛けを有資格の作業員が行い、もう一人がその補助者として付き、社長がトラッククレーンを運転して行うもので、架台を1個づつつり上げてはフェンスの近くの置場に降ろしていった。 荷降作業が終わったところで、社長は玉掛け補助者に「荷台を覆うシートがここにあるよ」とクレーンの左後輪付近を指差しながら声を掛けたが、このとき左手が旋回レバーを握っていたため右旋回の方向に操作してしまった。 そのため、トラッククレーンのジブがトラックの左側に来たときにトラックが傾いて横転し、ジブが道を挟んだ反対側にあった飲食店の敷地内に駐車していた乗用車の屋根に当たり、車を押しつぶした。 なお、幸いにして、この事故による死傷者はなかった。 |
原因
| この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
| 1 | 両側のアウトリガーを張り出していなかったこと
転倒したトラッククレーンのジブは、伸縮する形式のもので、事故時には4段目が少し出た状態で長さが約27m、角度が30度、作業半径が約23mの状態であり、荷を吊ってはいなかったものの、転倒側のアウトリガーは全く張り出していなかったため、クレーンが転倒したものである。 なお、反対側については、沈下防止のための枕木を敷き、アウトリガーを完全に張り出した状態であった。 |
| 2 | 無免許者がトラッククレーンを運転したこと
トラッククレーンを運転した社長は、移動式クレーンの特別教育は受けていたが、移動式クレーン免許は所有していなかった。 なお、当日に運転したトラッククレーンは、数年前に資格を持つ運転者が退職してから業務に使用することはなく放置していたもので、通常、同様の作業を行う時には客先のクレーンで積み降ろしをしてもらっていた。 |
| 3 | 安全管理を実施していなかったこと
今回の事故は幸いにして人身に被害を及ぼすことはなかったが、社長自らが無免許でトラッククレーンの運転を行うなど安全管理に関する意識のないまま作業を行っていた。 なお、このクレーンの性能検査は実施されていた。 |
対策
| 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
| 1 | 無免許者が運転を行わないこと
つり上げ荷重が1t以上の移動式クレーンの運転は、免許所有者(つり上げ荷重が1t以上5t未満の移動式クレーンにあっては、小型移動式クレーン運転技能講習の修了者)でなければできないことになっているので、事業者自らも運転しないことを徹底する。 なお、つり上げ荷重が1t未満の場合には特別教育の修了者でも運転ができるが、この者が今回のように安易に1t以上の移動式クレーンの運転を行うことのないように徹底する。 |
| 2 | メーカーの取扱説明書を熟読すること
転倒したクレーンのメーカーは、クレーンを操作するときには必ず両側のアウトリガーを張り出すことを前提(条件)として安定度を取扱説明書に示しているので、ユーザーはメーカーの示した使用条件を熟読して関係者に徹底し、それに従った操作を行う。 |
| 3 | 作業計画を作成して作業を行うこと
移動式クレーンを使用して行う作業は、クレーンの能力、運転者・玉掛け者・合図者の確保、荷の積み下ろし場所の条件、荷姿等に対応した作業計画を作成し、それに基づいた作業を実施する。 |
| 4 | 安全衛生教育等を実施すること
クレーン等を用いる作業においては多くの危険が予測されるので、事業者はもちろんのこと、関係者を含めた安全の確保についてあらかじめ安全衛生教育等を実施する。 |
厚生労働省