工場敷地内を通行中の事務員がトラクターショベルにはねられる

業種 | その他の金属製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 16~29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 整地・運搬・積込み用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 通路が確保されていない | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 合図、確認なしに車を動かす |
No.100852
発生状況
この災害は、工場敷地内を走行中のホイール式トラクターショベルをバックさせて方向転換しようとしたときに発生したものである。
この工場は、家電製品、エンジン等の材料となるアルミインゴットを製造しているが、トラクターショベルを使って、原料であるアルミ缶、アルミ枠等をアルミ廃材置場と分別仮置場の間を往復して運搬し整理を行っていた。 災害発生当日、トラクターショベル運転者はアルミ廃材の運搬・整理作業を午前8時30分頃から始めた。 午前10時頃、アルミ廃材分別仮置場内でのアルミ缶の整理が一応終わったので、トラクターショベルをアルミインゴット置場側に移動させるためバックで廃材分別仮置場から出て方向転換した。 そのとき、たまたま、事務所からアルミインゴット置場の方向へ歩いていた事務員を、トラクターショベルがはね、はねられた事務員を乗り越えて停止した。 この時期アルミ廃材受入れ量が多く、トラクターショベルが通行しようとした通路はアルミインゴット置場とアルミ廃材の山の間で一番狭い箇所の幅は5.6mであった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 作業者と車両の通路の区別が無かったこと。
廃材置場周辺が狭いにもかかわらず、作業者と車両が混在していた。 |
2 | 作業者の立ち入り禁止措置、または、誘導者の配置等の措置が講じられていなかったこと。
車両の稼動周辺スペースが狭いことによる危険を回避する措置が講じられていなかった。 |
3 | 車両の保安装置が不備のまま使用されていたこと。
トラクターショベルの保安装置(右折用方向指示器・バックブザー・運転席両側のバックミラー)が壊れていたために、後方にいる作業者に対して警告ができず、また、運転者の後方の状況把握が困難であった。 |
4 | 運転者が後方確認を怠ったこと。
運転者が後方確認をしないまま、トラクターショベルを右折しながらバックさせて被災者をはねた。 |
5 | 作業者の安全教育が不十分であったこと。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 作業者と車両の通路の区分を明確にすること。
作業者と車両が混在しないように安全通路を設けるなど、車両の作業範囲内への立ち入り禁止の措置を行う。 |
2 | 誘導者の配置等の措置を講じること。
車両の稼動周辺スペースが狭く、作業者と車両が混在せざるを得ない場合は、誘導者を配置し、その者の誘導により作業を行う。 |
3 | 車両の点検に当たっては、特定(定期)自主検査に限らず日々の点検を徹底して行うこと。
車両の点検を行う際には、方向指示器の取付け状況、バックミラーの取付け状況等、特に保安装置に支障があれば直ちに修理する。 |
4 | 運転者は安全運転を徹底すること。
制限速度を定め順守すること、バックの際は死角が多いため、誘導者を配置するなど慎重に後方の安全確認を行ったうえでバックすることなど安全作業基準を確立する。 |
5 | 作業者の安全教育を実施し、作業の安全評価を行い、安全担当者を選任するなど安全管理を徹底すること。 |