ドラグ・ショベルを運搬車に積込み中、荷台から滑り転落し、運転者が下敷きとなる。

業種 | その他の道路貨物運送業 | |||||
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事業場規模 | 1~4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 掘削用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 転倒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 不適当な機械、装置の使用 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 確認しないで次の動作をする |
No.100849
発生状況
この災害は、家屋解体工事に使用したドラグ・ショベルを路上に駐車中のトレーラに積載する作業において発生したものである。
災害発生当日、被災者は工事が終了した家屋解体工事現場から他の現場へドラグ・ショベル(7.86t)を搬送するため、トレーラ(最大積載荷重21.4t)を運転し解体工事現場に入れようとしたが、道が狭かったため現場から約200m離れた路上に停車させ、一人でドラグ・ショベルを現場から運転してきてトレーラに積み込もうとした。 積込み作業は、備え付けの道板を用いないで、ドラグ・ショベルをトレーラの荷台(高さ約1m)の後方に置き、ブームをトレーラの進行方向に向け、バケットの底板でトレーラの荷台を押し履帯の前部を持ち上げ、機体を半乗りの状態で荷台に載せる。その後、ブームを180度旋回させバケットの底板を地上に押しつけ機体を荷台に載せるものであった。この一連の作業中、機体が半乗りの状態からブームを上げた状態で上部旋回体を右に旋回させた直後、機体がトレーラの進行方向右側方に滑り、荷台からずり落ち横転し、被災者は、運転席と地面とにはさまれ死亡したものである。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 不適切な積込方法を行ったこと。
トレーラへのドラグ・ショベルの積載に際し、荷台には2本の道板が積載されていたにもかかわらずその道板を使用せず、不適切な方法で積み込み作業を行った。 |
2 | 単独作業のため危険を察知できなかったこと。
作業者は、ドラグ・ショベルを荷台に積載する際、右側にずれて履帯がトレーラの荷台から一部出て横転しやすい状態にあったことに気がつかず,加えて一般道路上での積み込み作業のため急いでおり、ブームを急旋回させた。 |
3 | 安全教育が不十分で関係作業者の安全意識が希薄であったこと。
適切な手順による安全作業の実施が関係作業者に周知徹底されていなかった。また、作業者の運転による機体の重心移動に伴う危険性についての認識が不十分であった。 |
4 | 安全作業手順が作成されていなかったこと、また出張作業の安全管理が徹底していなかったこと。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 車両系建設機械の積み込み作業について、安全作業手順を定め、関係者に周知徹底すること。
トレーラへの積み込み作業は、道板を適切に設置、使用すること等の安全な作業方法を定めて励行する。 |
2 | 作業指揮者または誘導者の配置等危険回避措置を行うこと。
車両系建設機械のトレーラへの積み込みのように危険性の高い作業においては、1人作業をできる限り排除するようにし、作業指揮者または誘導者を配置し、その者に直接指揮、誘導させ路上の交通安全と運転者の死角を減らす等災害防止を徹底する。 |
3 | 関係作業者に対して安全教育を徹底すること。
安全意識を高揚し、安全作業方法の励行を関係者に周知徹底し作業条件等に伴う人的な災害要因を排除し、災害の再発を防止するための安全教育を徹底する。 |
4 | 出張作業の安全管理を徹底するために安全管理体制を整備して、安全管理を徹底すること。 |