工場の屋根に設置されたダクトの破損部分の確認・計測作業中、屋根の天窓のガラス板を踏み抜き墜落
業種 | 建築設備工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 仮設物、建築物、構築物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 建築設備工事 | ||||
災害の種類 | 窓、階段、開口部、床の端から墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 憶測判断 | |||||
発生要因(管理) | その他の不安全な場所へ乗る |
No.100792
発生状況
この災害は、機械加工工場(大型旋盤工場)の屋根に設置されたダクトの腐食部分取り替え工事の準備のため、腐食部位の確認と詳細な寸法の計測等で工場屋根を移動中に、採光用の天窓ガラス板を踏み抜いたものである。
災害発生当日、被災者の作業は、午前中には他社のダクトの調整を行い午後3時から発生現場の工場の屋根(高さ10m)に同僚と2名で上がり、腐食したダクトの取り替え部分の確認と取り付け位置の測定を行うものであった。 計測作業は、被災者が寸法を計測し、同僚が手帳に記録するもので、まず工場屋根の東側の2カ所を計測した。その後、西側の3カ所を計測するために屋根の上を歩行中、天窓のガラス板を踏み抜き工場内の大型旋盤の上に墜落したものである。 機械加工工場は、隣接工場(6階建)の北側に付設して建築されており、鉄骨造で屋根は片流れ5°の勾配で、屋根用波形鋼板(折板鋼板 30cmピッチ)が使用され、地上までの高さは10mであった。 工場の屋根には、天窓(幅630mm 長さ9.25m)が6mの等間隔で9カ所設けられていたが、このうち東側の6カ所は鋼板で塞がれていたものである。 踏み抜いた天窓のガラス板は、粉じんなどの付着により汚れが激しく、塞いだ天窓の鋼板や工場屋根の波形鋼板などと同色となっており、見分けのつきにくい状態であった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 事前の作業の打ち合わせをせず高所作業に従事したこと
事業者は、作業の開始にあたって作業者に作業場所の状況を説明せず、具体的な危険箇所の確認を怠っていた。 作業者2名も発注者側に連絡・調整をしないまま、工場の屋根に上がり作業場所の状況の説明を受けずに作業を開始した。 |
2 | 踏み抜いた天窓のガラス板が屋根の他の部分と見分けられなかったこと
天窓には、通常の板ガラスが使用されていたが、汚れが激しく鋼板により塞がれていた天窓部と同じような色に変化しており、被災者は見分けがつかなかったと見られる。 |
3 | 踏み抜き・墜落防止のための措置を行わなかったこと
天窓を踏み抜くことを防止するための防網の設置、ふた板の設置などの措置がとられていなかった。(天窓に強化ガラスなどが使用されていない。) |
4 | 安全教育が実施されなかったこと
事業者は、日常の作業に関わる一般的な注意を作業者にしていたが、個別の作業や工事の危険について認識が低く、また、不安全行動や不安全状態に対する対策・知識を有さず、 安全教育を実施していなかった。 |
対策
同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 作業開始前の打ち合わせの徹底をはかること
発注者と請負った事業者との連絡・調整を確実に行い、当日の作業の方法や危険箇所の指示や確認を作業現場に徹底することが必要である。 |
2 | 踏み抜き防止対策の徹底をはかること
踏み抜き・墜落のおそれがある天窓、開口部についてはその危険を排除するため、防網もしくはふたを設置し、標識を設置する必要がある。また、作業中に工場屋根の端部に立ち入ることも予想されるので、親綱を設置し安全帯を使用させるなど、天窓のみでなく屋根からの転落防止対策をあわせて行う必要がある。 |
3 | 安全教育の徹底をはかること
高所作業に関して安全な作業手順の策定をし、安全な作業の方法、作業の危険性、不安全行動や状態、安全な設備、保護具の使用などについて、作業者に具体的な安全教育を行う必要がある。 |
4 | 屋根のダクトの点検・整備は、定期的に実施されるので安全な点検通路を確保するとともに、天窓そのものの安全化を図ること
屋根に安全な点検通路を設置し表示する。 工場の天窓としての機能は汚損により損なわれているので、天窓の廃止(鋼板による閉塞)もしくは恒久的な金網の設置、強化ガラスの設置などを検討する必要がある。 |