解体作業中の足場が倒壊し、足場上にいた作業者が転落
業種 | 機械(精密機械を除く)器具製造業 | |||||
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事業場規模 | 30~99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 足場 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100695
発生状況
この災害は、工場内レイアウト変更のため、排気設備を撤去する工事において、足場の解体作業中に足場が倒壊したものである。災害が発生した日、午後1時から製造部長ほか5名の役職者により撤去作業を行った。枠組み足場を使用することとし、出入りの工務店から枠組み足場の部材を借り受け、組み立てた。足場は、2段2列に組み、上段および下段に作業床付き布枠を取り付け、交差筋交いをすべての面に取り付け、脚部には14cm角ジャッキベースを取り付けた。また、上段には、各建枠に手すり柱を差し込み、手すりと中さんを取り付けた。
組み立てた足場を必要に応じて移動させながら撤去作業は午後7時頃に終え、足場の解体作業を始めた。
解体作業は、Aが上段の作業床に、そしてBとCが下段の作業床の両端に上がって始められた。まず、上段に上がったAが上段の片側の手すりおよび中さんを取り外し、下段の作業床にいたBに手渡しで中継し、さらにCが受け取って床に降ろしていた。引き続き、Aは、上段の反対側の手すりおよび中さんを取り外し、下段の作業床にいたCに手渡ししていたとき突然足場が傾き倒壊し、足場上にいた3名が床面に投げ出されて負傷した。
原因
この災害は、排気設備を撤去する工事において、足場の解体作業中に足場が倒壊したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 足場が設置されていた床面には、塵埃などで埋もれた使用されていない幅19cm、深さ20cmの排水路があったこと | |
2 | 作業場所が薄暗く、塵埃などが積もっていたため床面の状況が見え難かったなどから、足場の移動の都度、設置場所の床面の凹凸などの確認が十分に行われていなかったため、足場のジャッキベースの一部が排水路にかかっていたことに気づかなかったこと | |
3 | 部材の取り外しおよび足場上での作業者の移動に伴って足場全体のバランスが崩れ、排水路上にかかったジャッキベース側から傾いて倒壊したものと推定されること | |
4 | 足場解体中の倒壊防止のための控えなどを設けていなかったこと | |
5 | 足場の組み立ておよび解体の作業について、知識経験を有する者がいなかったこと | |
6 | 設備の撤去作業について、あらかじめ、具体的な作業手順の安全性を検討することなく作業を行ったこと |
対策
この災害は、足場の解体作業中に足場が倒壊したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 | 足場の組み立ておよび解体作業に関する知識・経験を有する者を作業指揮者として指名し、その者に、使用する部材および器具、工具、安全帯、保護帽の点検、作業の方法の決定、作業の進行状況および安全帯、保護帽の使用状況の監視などを行わせること なお、つり足場、張出し足場または高さが5m以上の構造の足場の組立て、解体、変更などの作業を行うときは、技能講習を修了した足場の組立て等作業主任者を選任し、その者に作業の方法および作業員の配置を決定し、作業の進行状況を監視させることが必要であること |
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2 | 足場の組み立て解体の作業を行うときは、組立図などを作成して、組み立て解体作業中の墜落災害、足場の倒壊、沈下などを防止するための検討を事前に行い、その検討結果に基づき、作業方法および手順を定めること | |
3 | 作業場所は、必要な照度が確保されるように照明設備を備えること | |
4 | 設備の解体、撤去などの仕事は、専門業者に外注することが望ましいこと |